クアルコム(ティッカー:$QCOM)の2025年度第2四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.85 | $2.81 | 〇 |
売上高 | $10.98B (YoY +16.9%) | $10.65B | 〇 |
ガイダンス 2025Q3EPS | $2.7 ($2.6~$2.8) | $2.69 | 〇 |
ガイダンス 2025Q3売上高 | $10.3B ($9.9B~$10.7B) | $10.34B | × |
📈 業績ハイライト
✅ 主要業績数値(Non-GAAP)
指標 | 数値 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高 | $10.8B | +17% | ガイダンス上限を上回る |
調整後EPS | $2.85 | +21% | ガイダンス上限を上回る |
QCT部門(チップセット)売上 | $9.5B | +12% | スマホ、IoT、車載が牽引 |
QTL部門(ライセンス)売上 | $1.3B | 横ばい | 新興国でのハンドセット減速が影響 |
営業利益率(QCT) | 30% | +1pt YoY | プレミアム帯の強化が寄与 |
営業利益率(QTL) | 70% | 横ばい | 通常の季節性範囲内 |
🔍 セグメント別成長詳細
セグメント | 売上高(Q2) | 前年同期比 | コメント |
---|---|---|---|
ハンドセット | $6.9B | +12% | Androidプレミアム帯の拡大が寄与 |
IoT | $1.6B | +27% | 特に産業向けが大きく成長 |
自動車 | $959M | +59% | 新車向け設計・ローンチが増加 |
- IoT成長の牽引要因:
- 産業向け(Industrial)が最大の貢献セグメント。
- マイコン→プロセッサ&AIへの移行が進行中。
- Palantir、Edge Impulse、Focus AIなどの買収と連携による機能強化。
📌 製品と市場別トピック
📱 スマートフォン
- Snapdragon 8 Elite:
- 90のフラッグシップ端末に採用。
- 折り畳み式端末の採用拡大(例:Motorola Razr 2025)
- MotoAIにより複数AI機能を搭載。
- Snapdragon x85モデム:
- 世界最先端のAI対応モデム~アンテナシステム。
- 5G Advanced対応、最大12.5Gbps速度。
💻 PC事業
- Snapdragon XシリーズPC:
- 85デザイン進行中、2026年までに100製品目標。
- $600以上のWindows PC市場で9%シェア(米・欧5カ国)。
- 750以上のネイティブアプリ、1,400超のゲームに対応。
- 長期目標:PC売上$4B(FY29)
🚗 自動車事業
- Snapdragon Digital Chassis:
- 今期30の新規設計受注(ADAS含む)。
- 14の新車種で商用ローンチ。
- 長期目標:車載売上$8B(FY29)
🥽 XR(拡張現実)
- MetaやSamsungなど15超のスマートグラス設計に採用。
- AI機能を活用したスマートグラスのユースケースが拡大。
- 長期目標:XR売上$2B(FY29)
📌 ガイダンス(FY25 Q3)
指標 | ガイダンス範囲 | 前年同期比 | コメント |
---|---|---|---|
売上高 | $9.9B – $10.7B | 約+12% | Android中心に成長継続見込み |
調整後EPS | $2.60 – $2.80 | – | – |
QCT売上 | $8.7B – $9.3B | 約+12% | ハンドセット+10%、IoT+15%、自動車+20%予想 |
QTL売上 | $1.15B – $1.35B | 横ばい | 季節性を考慮 |
Non-GAAP営業費用 | 約$2.25B | – | – |
❓ 質疑応答ハイライト
📱 ハンドセット市場と関税影響(TD Cowen:Joshua Buchalter)
Q:関税による需要の前倒し(pull-in)は見られるか?最大顧客の注文パターンに変化は?
A(Akash):
- 現時点で重大な影響は確認されていない。
- ガイダンスは既存の状況を反映しており、供給網はグローバルに多様化されている。
- Huaweiとのロイヤルティ契約は引き続き協議中(進捗なし)。
🌐 IoTセグメントの好調要因(J.P. Morgan:Samik Chatterjee)
Q:IoTが想定以上に好調だった理由は?
A(Akash):
- 産業向けが最大の成長貢献。
- マイクロコントローラ→プロセッサ&AIへの転換点にあり、技術優位性が活きた。
- PC、XR、ネットワークなど各サブセグメントでAI技術がより重要になっている。
Q:最近のM&A(Edge Impulse, Focus AI)は新市場への参入か既存強化か?
A(Cristiano):
- 主に産業IoT強化目的。
- ソフトウェアプラットフォーム拡充により、スケーラブルなAI展開を目指す。
🚘 自動車事業とADASの成長(Morgan Stanley:Joe Moore)
Q:ADASや将来の成長へのドライバーは?
A(Cristiano):
- 車内のデジタル化とシリコン含有量増加が成長を牽引。
- ADAS単独でも今期5つの新規設計を獲得。
- Flex設計(ADASとコックピット統合)も展開中。
📉 グロスマージンと構成比(Bernstein:Stacy Rasgon)
Q:Gross Marginが微減しているが、構成比の変化が原因か?
A(Akash):
- ローエンド製品の比率増がわずかに影響。
- 大きな構造的変化はなく、引き続き満足できる水準。
🧠 AIとASPの関係(Susquehanna:Chris Rolland)
Q:AI搭載でスマホはASP上昇するが、PCでは効果が限定的という見方もある。今後の見通しは?
A(Cristiano):
- モバイルではAIが使われるシーンが明確化、NPU搭載はASPに直結。
- 現時点は初期段階。クラウドではなく端末側でAIを動かす流れが進行中。
- PCでも同様の進化が起きると確信しており、Snapdragonは優位。
💰 資本政策とOpEx(Deutsche Bank:Ross Seymore)
Q1:Apple向け売上が減少する中でのOpExへの影響は?
A(Akash):
- 既に投資配分のシフトを完了中(モバイル→自動車、PC、XR、産業)。
- Apple収益の低下は他成長分野で補完予定。
Q2:フリーキャッシュフロー100%還元の理由は?
A:
- 過去2年の強いキャッシュフローを受けて、還元を強化。
- 自社株買いの機会と捉えており、M&Aの柔軟性も維持。
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