ペイパル(ティッカー:$PYPL)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.40 | $1.22 | 〇 |
売上高 | $7.7B (YoY +9%) | $7.52B | 〇 |
業績ハイライト
業績概要
- 2024年第1四半期は順調な業績でスタートし、業績は期待を上回った
- 売上高は前年同期比9%増の77億ドル、トランザクションマージンは4%増加
- 非GAAPベースのEPSは前年同期比27%増の1.08ドル
- 3つの重点領域に注力し、将来の収益性ある成長のための基盤を整備
- イノベーションの加速
- 導入の促進
- 業績不振のサービスの見直し
2024年第2四半期および通期見通し
- 第2四半期の売上高は前年同期比6.5%増を見込む
- 通期の非GAAPベースのEPSは中~高の一桁台の伸びを予想
- 通期のトランザクションマージンはわずかにプラスになる見通し
- 非トランザクション関連の営業費用はわずかに増加する見込み
- フリーキャッシュフローは約50億ドル、自社株買いは少なくとも50億ドルを計画
戦略的取り組み
- オムニチャネル戦略を推進し、PayPalのサービスをあらゆる購入時に利用可能に
- ゲストチェックアウト時の高い換金率を実現する「Fast Lane」の導入を拡大
- Venmoの収益化とユーザーエンゲージメントの改善に注力
- AIを活用したリスクモデルの改善によるトランザクション損失の低減
質疑応答ハイライト
トランザクションマージンの改善について
- ブランドチェックアウトとアンブランド(Braintree、PPCP)の両方で収益性の高い成長を実現
- 大企業や海外市場が branded checkout の成長を牽引
- PSP の収益性改善にも取り組んでいるが、第1四半期への影響は限定的
- Venmo や P2P でも少しずつ着実な改善
- トランザクション損失やクレジット損失の低減も寄与
- 業績不振の事業の見直しを進めており、ドラッグ要因は縮小
アンブランド事業の取り組みについて
- 大企業・中小企業のいずれにとっても重要なセグメント
- 認証率、稼働時間、信頼性などの基本的な機能を重視
- 付加価値サービスを提供し、価値に見合った価格設定を目指す
- 加盟店との戦略的な会話を通じて、ブランド・アンブランド両面での価値提案を強化
- 導入には時間を要するが、加盟店との会話は順調に進んでいる
Fast Lane の導入戦略と価格設定について
- Fast Lane はオンラインだけでなく、オムニチャネル環境でも活用可能
- PayPal のブランド力を生かし、認識されていないユーザーの取り込みにも効果的
- PPCP を通じて中小企業に導入を促進し、大企業とも戦略的な会話を実施
- 2024年は導入を優先し、競争力のある価格設定を検討
- ネットワーク効果により、さらなる換金率の向上が期待できる
欧州委員会の iPhone NFC ハードウェア開放裁定について
- オムニチャネル戦略の一環として、オフラインでの PayPal サービス提供を推進
- NFC が開放されれば、iPhone でのウォレット機能の提供が容易になる
- NFC が利用できない環境でも、他の手段でオムニチャネルに対応
- 顧客のニーズに応えるべく、あらゆる購入機会に PayPal を提供することが重要
小規模事業のトランザクションマージンへの影響と Venmo の機会について
- 昨年は小規模事業によるマイナスの影響が大きかったが、今年は縮小傾向
- 一部の事業は縮小局面にあるが、影響は小さくなっており、数年かけて解消される見通し
- Venmo は米国で主導的な P2P プラットフォームであり、大きな機会がある
- 月間 180 億ドルの新規資金流入があるが、その 80% が 10 日以内に流出しており、改善の余地がある
- デビットカードの普及や送金機会の拡大など、ユーザーエンゲージメントの向上に注力
PayPal の競争優位性について
- 市場の 60% はまだ決済手段を使っておらず、PayPal にとって大きな機会
- Fast Lane により、認識されていない顧客の取り込みが可能
- 残りの 40% でも PayPal はリーディングプレイヤーだが、イノベーションとユーザー体験の改善が必要
- レイテンシーの 50% 削減、パスワードレス認証の導入、報酬プログラムの強化などに取り組む
- オムニチャネル戦略により、あらゆる購入機会で PayPal を提供可能に
Fast Lane の導入タイムラインについて
- 大手加盟店での実証実験を経て、有効性を確認
- 加盟店からの需要は非常に高く、できるだけ導入の障壁を下げることが重要
- 下期には可能な限り多くの加盟店に導入し、ホリデーシーズンでの効果を狙う
- 一部の加盟店では 2025 年まで時間を要する可能性があるが、近い将来、全加盟店での導入を目指す
- 古い統合を統合し、最新のスタックに移行することで、イノベーションとユーザー体験の向上を実現
Venmo のトランザクションマージン改善の要因について
- Venmo は米国で高い認知度を誇り、オンラインでの「Venmo で支払う」オプションの導入が進む
- オフラインでの Venmo の活用は不十分であり、改善の余地がある
- デビットカードの普及などを通じて、Venmo 残高のオフラインでの使用機会を拡大
- AI を活用したリスクモデルの改善により、トランザクション損失の低減にも注力
- Venmo の将来性には大きな期待
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