ニューホールディングス(ティッカー:$NU)の2024年第4四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.11 | $0.11 | 〇 |
売上高 | $2.99B (YoY +24.6%) | $3.17B | × |
業績ハイライト
主要指標
指標 | 2024年通期実績 | 前年比成長率 (FX中立) |
---|---|---|
総顧客数 | 1億1420万人 | +22% |
アクティブ顧客数 | 9500万人 | +22% |
総収益 | 115億ドル | +58% |
預金残高 | 289億ドル | +55% |
利息収益ポートフォリオ | 112億ドル | +75% |
調整後純利益 | 20億ドル | +87% |
ROE(自己資本利益率) | 28% | – |
月間ARPAC(顧客1人当たり収益) | 10.7ドル | +23% |
効率性比率 | 29.9% | -610bps |
地域別ハイライト
ブラジル
- 顧客数:6600万人(人口の58%をカバー)
- セキュアローン残高:14億ドル(前年比**+615%**)
- Ultravioleta(高所得者層向け):顧客数70万人(前年比**+132%**)
- FGTSローン市場シェア:30%
メキシコ
- 顧客数:1000万人(前年比**+91%**、成人人口の12%)
- 預金残高:45億ドル(前年比**+438%**)
- クレジットカード顧客数:560万人(前年比**+70%**)
コロンビア
- 預金残高:13億ドル(稼働後2四半期でトップ5金融機関に)
事業別ハイライト
- 融資事業:
- 総貸出残高:207億ドル(前年比**+45%**)
- 無担保ローン:61億ドル(前年比**+100%**)
- セキュアローン比率:23%
- デジタルサービス:
- Nu Marketplace:年間100万人以上の利用者
- Nu Travel:アプリ内での旅行予約と外貨口座連携
- NuCel(MVNO):Claroとの提携による通信サービス提供開始
質疑応答ハイライト
Pixファイナンスに関する質問
Q(Jorge Kuri, Morgan Stanley): Pixファイナンスの短期的な成長抑制の意味を詳しく教えてください。
A(Guilherme Lago): Pixファイナンスはポートフォリオ比率を維持する方針で、絶対額は引き続き増加します。ただし、低リスク層に対する拡張を制限し、NPS(顧客満足度)や解約率への2次的影響を最小化することを優先しています。
A(David Velez): この決定は短期利益よりも顧客体験を重視するNuの文化を反映しています。テストを継続し、完全に満足できる顧客体験が整った段階で再拡大を検討します。
ネット金利マージン(NIM)低下の要因
Q(Jorge Kuri, Morgan Stanley): リスク調整後NIMの低下(11% → 9.5%)について、要因を分解して説明できますか?
A(Guilherme Lago): 70bpsのNIM低下の内訳は以下の通りです。
- 為替影響(44-45%):異なる為替レート使用により、収益が低く換算された。
- 商品構成変化(28%):無担保ローンよりもセキュアローンの成長が加速。
- 資金調達コスト(27%):メキシコとコロンビアでの預金成長によるコスト増。
今後はバランスシートの最適化(LDRの改善)によりNIMの回復を見込んでいます。
無担保ローンの成長戦略
Q(Yuri Fernandes, JPMorgan): 無担保ローンが急成長していますが、成長源はどこですか?また、貸出期間の変更はありますか?
A(Jag Duggal):
- 既存顧客中心:再貸付の比率を高め、リスク低減を図っています。
- チケット拡大と金利低下:リスク調整後、融資額拡大と低金利化を実現。
- セグメント拡大:高所得者層および中小企業向けに提供範囲を広げました。
期間については、6カ月程度を基準としつつ、慎重に延長を進める計画です。
総括
Nu Holdingsは2024年、顧客基盤の拡大、収益成長、そして収益性向上を同時に実現しました。純利益は2倍近くに増加し、**ROEは28%**に達するなど、競争優位性を強化しています。
ポジティブ要素
- 顧客基盤の拡大:メキシコとコロンビアでの成長が加速。
- 収益性向上:ARPAC、効率性比率、純利益の改善。
- セキュアローン:ポートフォリオの**23%**を占め、堅調な成長を牽引。
懸念点
- NIM低下:メキシコ・コロンビアの預金成長に伴う資金コスト増が影響。
- Pixファイナンス抑制:短期的な収益成長鈍化要因。
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