ネットフリックス(ティッカー:$NFLX)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $5.28 | $4.51 | 〇 |
売上高 | $9.37B (YoY +14.8%) | $9.28B | 〇 |
ガイダンス 2024Q2EPS | $4.68 | $4.54 | 〇 |
ガイダンス 2024Q2売上高 | $9.491B | $9.53B | × |
業績ハイライト
決算概要
- 2024年第1四半期の業績インタビューを実施
- 2025年から四半期の有料会員数とARMデータの報告を停止する決定について説明
- 主要指標は売上高、営業利益、営業利益率、純利益、EPS、フリーキャッシュフローにシフト
有料会員数の増加要因
- 魅力的なコンテンツラインナップによる顧客満足度の向上
- テクノロジーとプロダクトの改善による視聴者とコンテンツのマッチング強化
- 世界中のオリジナルコンテンツの充実
売上高ガイダンスと減速要因
- 通期の売上高成長率は13%から15%の見通し
- 有料多世帯共有対策の通年化や為替の影響などが減速要因
- 長期的には健全な二桁成長を維持できる見通し
広告ビジネスの進捗
- 広告プランの会員数が四半期で65%増加と高成長
- 広告主向けの製品改善や広告枠の拡大などに注力
- アップフロントを通じて広告主にコンテンツラインナップをアピール
スポーツコンテンツ戦略
- ポール対タイソンの試合など大規模なライブイベントを拡充
- WWEの週間番組の配信を予定
- 視聴者のエンゲージメント向上と広告収入の拡大を目指す
資本配分戦略
- 投資適格級の信用格付けを反映し資本配分戦略を改善
- 自社製作を中心としつつ戦略的なM&Aも検討
- 過剰なキャッシュは自社株買いで株主還元
質疑応答ハイライト
会員数と収益モデルの変化について
- 会員数単体だけでなく、広告収入、エクストラメンバー料金、異なる価格帯のプランミックスなどが収益に影響するため、単純な「会員数×月額料金」の計算では事業実態を正確に反映できなくなった。
- そのため2025年以降は会員数を定期的に開示しなくなる代わりに、収益、営業利益、純利益、EPSなどの指標を重視する。
- ただし大きな会員数のマイルストーンになれば開示する予定。
有料共有対策の今後
- 技術的な改善や新しいオファーを続けることで、今後数四半期は有料共有対策が事業成長に寄与する見込み。
- しかし長期的には、プラン最適化、広告収入、価格改定などの収益源がより重要になると予想している。
広告層の拡大戦略
- 価格設定、バンドルサービス、マーケティングなどの従来の会員獲得手法を活用する。
- 現状の低い広告単価は、供給過剰が原因。今後は在庫とソリューションを拡充し、収益改善を目指す。
- 長期的には、広告層と広告無し層の収益を同等の水準に引き上げることが目標。
スポーツコンテンツについて
- 現時点ではエンターテインメント色の強いスポーツコンテンツに注力している(例:ボクシング、レスリングなど)。
- 収益性が確保できるスポーツコンテンツであれば、会員エンゲージメント向上などのメリットから追加する可能性はある。
コンテンツ戦略の変化
- 制作本数を減らすつもりはなく、バラエティと品質の高いコンテンツを追求する方針に変わりはない。
- 新任の映画部門責任者ダン・リンの下で、より自主制作を増やすなどの手法は変わる可能性があるが、基本方針は維持する。
価格設定について
- 提供する価値が高まれば、さらなる値上げの機会があると考えているが、具体的な上限は設けていない。
- 成熟市場での現行価格を大幅に引き上げる計画はない。基本的には段階的な値上げを検討する。
資本配分の変更点
- 投資適格格付けを受けたことで、キャッシュ効率を高める方針に転換する。
- 具体的には、最低現金維持額を収益ベースから絶対額ベースに変更し、コミットメントラインを増額する。
- M&Aは選択的に実施するが、基本は自前の事業成長を重視する方針は変わらない。
- コンテンツ投資については、従来どおり営業費用の1.1倍を上限に据える。
AIテクノロジーの活用
- 長年活用してきたML技術に加え、新しいAIテクノロジーも積極的に取り入れていく。
- 創作者向けのAIツール開発なども視野に入れており、ストーリーテリングをより魅力的にする可能性がある。
- ただし、ストーリーテリングの本質的な重要性は変わらない。
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