決算:NET 2025Q4

決算

クラウドフレア(ティッカー:$NET)の2025年度第4四半期決算についてまとめます

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$0.28$0.27
売上高$614.5M
(YoY +33.6%)
$591.36M
ガイダンス
2026Q1EPS
$0.23$0.25×
ガイダンス
2026Q1売上高
$620.5M
($620M~$621M)
$614.19M
ガイダンス
通年EPS
$1.115
($1.11~$1.12)
$1.18×
ガイダンス
通年売上高
$2.79B
($2.785B~$2.795B)
$2.74B

業績ハイライト

1) 全社サマリー

指標実績前年同期比 / 補足
売上高$614.5M+34% YoY(3四半期連続で成長加速)
粗利率(非GAAP)74.9%長期目標75〜77%にわずかに未達(QoQ -40bp / YoY -270bp)
営業利益(非GAAP)$89.6M営業利益率 14.6%(YoYで横ばい、利益額は+33%)
営業利益率(非GAAP)14.6%一貫して維持
純利益(非GAAPベースで説明)$106.8M希薄化後EPS $0.28
フリーキャッシュフロー$99.4M売上比16%(前年 $47.8M / 10% から大幅改善)
DBNRR(ドルベース純継続率)120%QoQ +1pt / YoY +9pt
RPO(残存履行義務)$2.496B+16% QoQ / +48% YoY
Current RPO比率63%「34%改善」と説明(文脈上はYoY改善を示唆)
現金等$4.1B現金・同等物・AFS有価証券

🟢 ポジティブ:売上+34%で加速、FCF大幅増、RPO +48% YoY、DBNRR 120%へ改善、記録的な新規ACV
🔴 ネガティブ:粗利率が目標レンジ未達、YoYで粗利率-270bp(要因は後述)


2) 顧客・ACV・エンタープライズ進展

指標実績前年同期比 / 補足
$100k超顧客数4,298〜約4,300社+23% YoY
大口顧客($100k超)売上比率(Q4)73%前年Q4の69%から上昇
大口顧客売上成長+42% YoY(CEO言及)
課金顧客数約332,000社+40% YoY、QoQで約**+37,000**増(過去最大の純増)
$1M超顧客数(年末)269社+55% YoY
新規ACV(Q4)過去最高新規ACV成長率:+約50% YoY(2021以来の高い伸び)
$1M超顧客の純増(2025年)“$961 million dollar-plus customers”発言は不自然だが、趣旨は「$1M超顧客の増加が非常に大きい」ことを強調

経営陣の言葉(忠実要約)

  • 「PLGから真のエンタープライズ営業へ」の2年の再構築が成果に。
  • 生産性:8四半期連続でYoY改善、2021年の過去最高水準も超過。
  • クオータ達成:過去4年で最高
  • 史上最大の契約:年初に総契約額$130M/5年、Q4に年額ACV$42.5M(史上最大年額)。

🟢 ポジティブ:大口偏重(=エンタープライズ)で伸び、$1M顧客が+55%、新規ACVが強烈に加速
🔴 注意:文面に数値表現の乱れがあり($961〜の箇所)、公式資料の確認が必要なレベル


3) 地域別売上(Q4)

地域売上構成比成長率(YoY)
米国49%+31%
EMEA27%+31%
APAC16%+50%

🟢 ポジティブ:APACが+50%と突出(成長ドライバー)
🔴 注意:構成比が合計92%で、残りはその他地域/調整等がある前提


4) 収益性・コスト構造(Q4)

指標実績前年同期比 / 補足
粗利率74.9%QoQ -40bp / YoY -270bp
ネットワークCapEx売上の13%2026年見込み:12〜15%
営業費用比率60%YoY -3pt
S&M$214.4M(35%)36%→35%に改善
R&D$94.9M(16%)16%→16%(横ばい)
G&A(10%)数値として「$1.2 million」は明らかに不整合(10%と整合しない)

粗利率低下の説明(CFO)

  • 有償/無償のトラフィック配分が変化し、ネットワーク費用のCOGS配賦が過去最高に。
  • Workers(開発者プラットフォーム)の伸長で、4つの“Act”の構成比が変わると短期的に粗利が動く。
  • ただし「ネットワークの基礎的なスケーラビリティ/効率の経済性は不変」「単位経済性は一貫」と主張。

🟢 ポジティブ:OPEX比率は改善、FCF比率16%まで上昇
🔴 ネガティブ:粗利率が目標未達かつYoYで大きく低下、G&Aの数値記述が破綻しており信頼性に傷


5) ガイダンス(2026)

Q1 2026 見通し

指標ガイダンス
売上高$620M〜$621M+29〜30% YoY
営業利益$70M〜$71M
実効税率20%
希薄化後EPS$0.23(株式数:約377M想定)

FY 2026 見通し

指標ガイダンス
売上高$2.785B〜$2.795B+28〜29% YoY
売上の季節性上期46%(=下期54%)
営業利益$378M〜$382M
実効税率20%
希薄化後EPS$1.11〜$1.12
株式数前提377M2026年転換社債を現金決済する前提)
ネットワークCapEx売上の12〜15%

🟢 ポジティブ:2026年も高成長(28〜29%)を継続する前提
🔴 ネガティブ:Q4の34%→通期28〜29%へ鈍化前提。さらにPool of Funds増で四半期のブレが増えると明言


6) 事業・製品トピック

  • AI/エージェントが需要を「増幅」
    • 「人が5サイト見るなら、エージェントは5,000を見る」など、トラフィック・リクエストが桁違いに増える世界観。
    • 1月だけでAIエージェント由来の週間リクエストが2倍超(Cloudflareネットワーク上)。
  • Workersが中心:開発者プラットフォームが“vibe coding”系の基盤/デプロイ先として選ばれている。
    • 2025年末時点でアクティブな人間の開発者 450万人超(「エージェントを含めればもっと多い」)。
  • Zero Trustも追い風:エージェント時代のアクセス制御・データ区画化で採用増。
  • Act 4(新しいインターネットのビジネスモデル):AI crawl control/コンテンツ収益化の“市場”構想。Cloudflareが「中立な仲介者」になれると主張。

質疑応答ハイライト

1) AIエージェントの短期/長期影響、HyperscalerとのCapEx構造(RBC)

Q(RBC Matt Hedberg)

  • 2026年序盤の市場ボラ、HyperscalerのCapEx増・SaaSのAIディスラプション懸念の中で、エージェントが短期的にCloudflareへ与える影響は?
  • 長期的には? Cloudflareは“ピッケルとシャベル”になれるか?(GPUコストを抱えずに)

A(CEO Prince)

  • Cloudflareは「この瞬間に完璧に位置している」。
  • SaaSが全部死ぬとは言わないが、AIで起業家が“レガシーを破壊する速度”が未曾有。その多くがCloudflare上で構築
  • エージェントのインターネット利用は過去にないボリューム → 従来型のCloudflareサービス需要が増える
  • Hyperscalerは「機械を買って貸して回収する」ビジネス。Cloudflareは「仕事を終わらせる」ビジネス。
  • Cloudflare内部の研究でAIを効率化し、同じGPUで“10倍”の仕事を出すこともあると主張。Hyperscalerは効率化インセンティブが薄い。
  • CapExは少し増えたが、Hyperscalerほどではない。

🟢 AIトラフィック増が追い風、効率の差別化を強調
🔴 “10倍効率”は定義・前提が不明で検証不能、誇張の可能性


2) トラフィック進化と買収(Humenated / ASTRO)の位置付け(Morgan Stanley)

Q(Morgan Stanley Keith Weiss)

  • エージェント利用でインターネットトラフィックがどう進化しているか?次はどこへ?
  • 買収した HumenatedASTRO はそのビジョンでどう機能する?

A(CEO)

  • Humenated:広告・サブスクから別モデルへ移る“次のインターネット収益モデル”を構想するチームとして重要。Google出身の優秀な人材。
  • ASTRO:次世代Webの開発基盤/フレームワークとして、vibe codingなどの潮流に合う。
  • CloudflareのApplication Servicesは“前段”にいるため、流れるコンテンツを書き換え可能。旧来インターネットを“次の形”に連れていく役割を担える。
  • 小規模事業者が取り残されないよう、Shopify/Visa/PayPal/Mastercardなどと連携し、ワンクリックで移行できる世界を目指す。

🟢 「旧→新」移行の中継点としてのポジショニングが明確
🔴 買収内容の具体的統合計画・収益化タイムラインは曖昧


3) WorkersのAI活用事例とHyperscalerに勝つ理由(William Blair)

Q(William Blair Jonathan Ho)

  • WorkersがAIプロジェクトでどう使われている? なぜHyperscalerでなくCloudflareか?

A(CEO)(事例を列挙)

  • Fortune 500製薬:内部開発者向けvibe coding基盤をCloudflare上に構築(OrchestraAI / DurableObjects言及)。
  • 上場テック:プラグイン・サンドボックスをCloudflare Containersへ移行し、安全な隔離実行を実現。
  • 大手金融:AIエージェントが決済サービスと対話する公式MCPサーバーをWorkersで構築(Clog/Cursor/OpenAI言及)。
  • 選ばれる理由:
    1. フルスタックのツールキット
    2. エージェント/AI向けのモダン設計
    3. 無限にスケールアップでき、使わなければ即ゼロまで落とせるコスト構造
  • Hyperscalerは競争力のあるGPU価格を得るために年単位コミットが必要で、失敗時に予算を圧迫。

🟢 “スケール/ゼロ化”と“隔離実行”で開発とセキュリティを訴求
🔴 事例は具体名が伏せられ検証不能、GPU年コミット等は一般論として誇張余地


4) 超大型案件(0M級)パイプラインと学び(Goldman Sachs)

Q(GS Gabriela Borges)

  • 今回の大型案件は昨年の$100M+案件を想起。大型案件パイプライン、各Actのクロスセル、学びと再現性は?

A(CEO)

  • パイプラインは「非常に強い」。
  • 既存顧客への深い入り込み(開発者を顧客チームに“埋め込む”)→用途を理解し、Hyperscaler等の予算をCloudflareへ振替。
  • Cloudflareの方が「速い・スケールする・より安い」ことを体感させる。
  • まだ毎四半期$100Mは無理だが「いずれ到達する」。WorkersのTAMは巨大。

🟢 “埋め込み”による上流化が勝ち筋
🔴 大型案件依存のリスク(集中/タイミング)への言及がなく楽観一色


5) Pool of Fundsの次のフェーズと収益ボラティリティ(Citi)

Q(Citi Fatima Boolani)

  • Pool of Funds契約が成功。次のフェーズは?
  • 変動・使用量連動収益が増えることで、予測の難しさ/ボラティリティはどう見る?

A(CEO)

  • Pool of Fundsは“顧客の信頼”の表れ。どの機能をどれだけ使うか分からなくても、Cloudflareの全ツールにアクセスしたいというコミット。
  • まだ売上構成比は低いが急成長、当面はこの“トリック”を伸ばす。

A(CFO)

  • Q4のPool of FundsはACVの約20%。2025年通期では中ティーンズ%
  • Pool比率が上がると変動収益比率が上がり、ガイダンスでその分を織り込む。
  • **「Q4が相対的に大きく、Q1が相対的に小さい」**季節性が強まり得る(線形認識の契約と比較して)。

🟢 契約形態の進化=プラットフォーム化の裏付け
🔴 会社自ら「ボラ増」を宣言。投資家が嫌う“予測困難性”を自ら高めている


6) Act1(Application Services)とAct2(Zero Trust)の需要増(BTIG)

Q(BTIG Gray Powell)

  • Developer Services以外の**中核Application Services(Act1)**でも需要増のデータ。AI導入でAct1の成長はどう変化?

A(CEO)

  • AI企業は「クエリ処理が高コスト」なので、人間/非人間識別などCloudflareの強みが必須。
  • Q4で特に伸びたのは、メディア/Eコマース等がエージェントからのアクセス急増に直面したこと。
  • エージェント時代の“セキュリティ課題”が急速に顕在化し、Zero Trustもセルフサービスで採用が増えている。
  • 結論:AIはCloudflareにとって圧力ではなく全面的に追い風

🟢 “AI=Workersだけ”ではなく既存主力も需要増という主張
🔴 Act1の具体的数値(成長率/売上寄与/単価)は提示なし


7) Act4:AI Crawl Controlと将来の市場モデル(Baird)

Q(Baird Shrenik Kotauri)

  • 出版社向けの採用状況(ブロック/制御)と、将来の構造化マーケットプレイスの進化は?

A(CEO)

  • CloudflareはAI企業でもメディアでもない“中立”で、AI企業の80%がCloudflare利用という立ち位置。
  • 「コンテンツを作る人は対価を得るべき」。AIボットは広告をクリックしないので、広告/サブスク以外のモデルが必要。
  • 報道機関だけでなく、銀行のリサーチ部門からも「購読/閲覧が減っている」と相談が来ている。
  • Hyperscaler(Microsoft/Amazon等)のコンテンツ市場構想もあるが、双方から「中立なCloudflareが望ましい」という声がある。
  • 2026年に新モデルと財務影響を語り始める見通し。

🟢 Crawl Controlを“収益モデル転換”に接続し、巨大テーマ化
🔴 収益化は未確定。規制/反発/エコシステム合意形成など不確実性が極めて高い


8) チャネル戦略(Stifel / KeyBanc)

Q(Stifel Adam Borg)

  • チャネルミックス(28.5%と質問側が言及)を踏まえ、2026年のチャネル優先順位は?特にAct2/Act3で。

A(CEO)

  • “真のエンタープライズ営業”にはチャネルファーストが必要、2年前から着手。
  • 以前はプロダクトが「5分で高速化」的に単純で、VARが価値を足しにくかった。
  • Workersで統合/拡張/垂直特化のIP化が可能になり、SI/VARに旨味。
  • 2025年は価格表整備など、パートナーが見積もりやすい仕組みを整えた。2026年に成果が出る見込み。
  • パートナーが「売りまくる」と意欲的とコメント。

Q(KeyBanc Jackson Ader)

  • チャネルは機動力を落とす面もある。需要が強いなら、直販採用はどれだけ迅速にできる?

A(CEO / CFO)

  • CEO:チャネルは制約ではなくレバレッジで、むしろ機動力を上げる。90%がチャネルの旧来型にはならないが、伸ばせる。
  • CFO:資本配分はEither/Orではなく、直販増強とチャネルを“独立に”同時加速。年初に採用・立ち上げを前倒しで実施。

🟢 2025年の“制度整備”→2026年“刈り取り”のストーリーは一貫
🔴 チャネル依存のマージン圧迫・価格統制・実行リスクへの言及が薄い


総括

🟢 評価できる点

  • 数字は強い:Q4売上+34%で加速、FCF 16%まで改善、RPO +48% YoYは受注残の厚みを示す。
  • エンタープライズ化が“言葉”ではなくメトリクスで進展:$100k顧客 +23%、売上の73%を占め、$1M顧客 +55%。新規ACVもYoY+約50%と“需要の強さ”が見える。
  • AIトレンドを自社の複数事業(Act1/2/3/4)へ接続する説明ができており、単一プロダクト依存の説明よりは質が高い。

🔴 問題点

  1. 粗利率の劣化が軽視され過ぎ
    • YoYで**-270bp**は小さくない。説明は「配賦」や「構成比」だが、投資家が本当に知りたいのは
      • その低下が一過性なのか、
      • Workersの成長が続くほど構造的に粗利が削られるのか、
      • 価格/コストの主因(帯域、計算、GPU、サードパーティ、減価償却など)は何か、
        が曖昧なまま。ここを“雰囲気”で流している。
  2. 変動収益(Pool of Funds)拡大=ガイダンスの信頼性低下を自認
    • CFOが「Q4大・Q1小」のブレを明言。
    • 高成長フェーズでは許容されがちだが、成長が28〜29%へ鈍化する局面で、予測の難しさは株価ボラ要因になりやすい。
  3. トランスクリプト内に数値整合性の破綻が複数ある
    • G&Aが「$1.2 millionで10%」など、明らかにおかしい。
    • $1M顧客の「$961 million dollar-plus customers」も表現が壊れている。
      これは“文字起こしのミス”の可能性が高いが、少なくともこのテキストだけを根拠に精密なモデル更新をすると事故る。重要KPIは必ずIR資料で再確認が必要
  4. AI関連の主張に“検証不能な強い言い切り”が混ざる
    • 「GPUあたり10倍の仕事」など、前提が不明。
    • 市場が熱い局面では許されるが、センチメント悪化時には“誇張”として逆風になり得る。

株価

  • 🟢 上昇材料:Q4の成長加速、記録的ACV、RPOの強さ、2026年も28〜29%成長ガイダンス、AI/エージェント需要の具体例、$42.5M年額の大型契約。
  • 🔴 下落材料:粗利率の悪化(目標未達+YoYで大幅低下)、Pool of Funds増による四半期ボラ増、AI/Act4の収益化がまだ“物語段階”、データ品質(テキストの不整合)が気になる。

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