クラウドフレア(ティッカー:$NET)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.16 | $0.16 | 〇 |
売上高 | $479.09M (YoY +26.5%) | $468.7M | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $0.18 | $0.19 | × |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $500.5M ($500M~$501M) | $502M | × |
ガイダンス 通年EPS | $0.795 ($0.79~$0.80) | $0.80 | × |
ガイダンス 通年売上高 | $2.092B ($2.09B~$2.094B) | $2.10B | × |
業績ハイライト
売上・顧客関連指標
指標 | 数値 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高 | $479.1M | +27% | ガイダンス超過で好調 |
米国売上 | 全体の49% | +20% | |
EMEA売上 | 全体の28% | +27% | |
APAC売上 | 全体の15% | +54% | 地域施策が成功 |
支払顧客数(総数) | 約251,000 | +27% | 前四半期から13,000人増加 |
大口顧客数(> $100K) | 3,527 | +23% | 全売上の69%を占める(前年67%) |
>$1M顧客数(前年比) | +48% | 過去最高の追加数 | |
>$5M顧客数(前年比) | +54% | ||
ドルベースネットリテンション(DNR) | 111% | 変化なし | 安定化傾向 |
解約率 | 改善傾向 |
ポジティブ要因:
- 特にエンタープライズセグメントにおける大口顧客の増加。
- APAC地域の売上成長が顕著(+54%)。
- 大規模案件の獲得(最大$130M)に成功。
- 営業生産性が四半期連続で2桁成長。
収益性・キャッシュフロー
指標 | 数値 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
粗利益率 | 77.1% | -240bps | 長期目標範囲(75-77%)を維持 |
営業利益 | $56M | +32% | 営業利益率 11.7%(+50bps) |
純利益 | $58.4M | 非開示 | EPS: $0.16 |
フリーキャッシュフロー | $52.9M | +49% | FCFマージン: 11%(前年9%) |
ネガティブ要因:
- 為替影響による$2.7Mの未実現損失(EPSに-$0.01影響)。
- 粗利益率は前年からやや低下(無料→有料トラフィック比率の変化等が影響)。
ガイダンス(業績見通し)
区分 | 売上高 | 営業利益 | EPS(希薄後) |
---|---|---|---|
Q2 2025ガイダンス | $500M~$501M(+25% YoY) | $62.5M~$63.5M | $0.18(364M株想定) |
通期 2025年 | $2.090B~$2.094B(+25%) | $272M~$276M | $0.79~$0.80 |
- FCFについては通期の2/3が下期に集中する見込み。
- RPO(残存契約額):$1.864B(YoY +39%、QoQ +11%)
質疑応答ハイライト
① マクロ環境とインターネットトラフィックの傾向
Q(RBC): タリフ(関税)の影響やインターネットトラフィックに変化はあるか?
A(CEO):
- トラフィックは世界的に安定しており、大きな変化は確認されていない。
- Google等のクローラに対して送客効率が大きく悪化(15:1)。これにより、メディア企業からの関心が増加し、AIクローラー制御のためCloudflareを利用するケースが増えている。
② 営業利益率とCapExについて
Q(RBC): マージンに関する投資方針は?
A(CFO):
- 成長と利益のバランス(40%ルール)を意識しつつ、営業活動への再投資を継続。
- CapExは引き続き年間12~17%レンジ内を想定。
③ エンタープライズ営業の生産性
Q(Truist): 営業生産性と人員拡大の見通しは?
A(CEO):
- 営業生産性は四半期ベースで改善、Mark Andersonのリーダーシップが好影響。
- 採用も順調で、今後のキャパシティ増加に寄与。
④ DDoS攻撃の急増と競争優位性
Q(JPMorgan): DDoS攻撃増加の影響は?
A(CEO):
- 攻撃数は急増中だが、Cloudflareは全サーバで処理可能な統合アーキテクチャにより優位。
- 高価なスクラビングセンターを使う競合と異なり、追加コストなしで防御可能。
⑤ SASE・Zero Trust案件の拡大
Q(Wells Fargo): なぜ大型SASE契約が増えているのか?
A(CEO):
- 高性能なネットワークにより世界中で安定したパフォーマンス提供が可能。
- Zero TrustやDDoSとアプリサービスなどを一括で提供できる点も競争力。
⑥ 政府機関との取引拡大
Q(Wells Fargo): 政府関連取引の動向は?
A(CEO):
- 米国、APAC、欧州すべてで政府機関との長期契約が拡大。
- ハードウェア依存の競合に対し、クラウド型Zero Trustで優位性。
⑦ Workers案件(0M超)と開発者向け販売戦略
Q(Morgan Stanley): Workers主導の大型案件について詳細は?
A(CEO):
- 旧ハイパースケーラーとのPoC比較で、開発スピード、コスト、パフォーマンスすべてで優位。
- プラットフォームの完成度が高まり、本格的な収益貢献フェーズに。
Q(Stifel): 開発者向け営業部隊(Speedboat)の成果は?
A(CEO):
- 新設チームが大型案件創出に成功。製品完成度が高まり、本格展開が可能に。
⑧ Model Context Protocol(MCP)とAIエージェント戦略
Q(William Blair): MCPサーバの役割とAIへの関与は?
A(CEO):
- Anthropic提唱のMCPをCloudflare Workersでホストし、主要SaaSが採用。
- セキュリティ課題に配慮しつつ、AIエージェントとインターネットの橋渡しを担う位置に。
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