マイクロン・テクノロジー(ティッカー:$MU)の2025年度第2四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.56 | $1.42 | 〇 |
売上高 | $8.05B (YoY +38.3%) | $7.90B | 〇 |
ガイダンス 2025Q3EPS | $1.57 ($1.47~$1.67) | $1.52 | 〇 |
ガイダンス 2025Q3売上高 | $8.8B ($8.6B~$9.0B) | $8.48B | 〇 |
📈 業績ハイライト
売上・利益・マージンの概要
項目 | 数値 | 備考 |
---|---|---|
売上高 | 未開示(前年比は増加傾向) | HBMおよびLPDDRの成長が主因 |
HBM売上 | $1B超 | 初めて四半期で$1B突破 |
高容量DIMM+LPDDR売上 | $1B超 | こちらも初のマイルストーン |
DRAMコストダウン | 通年でフラット見通し | HBM含む全体としてほぼ横ばい |
NANDコスト(在庫含む) | 高コスト在庫の影響がQ4以降残存 | 特にNANDはコストの影響がQ4→FY26に継続 |
粗利益率(Gross Margin) | 圧迫要因あり(コスト・在庫) | HBM増加で改善傾向も、在庫のコスト影響あり |
スタートアップコスト | Q4に30~40bpsの影響 | FY26にかけて増加予定 |
🟢 ポジティブ:HBMとLPDDRの急成長、DRAM供給の強化
🔴 ネガティブ:NANDのコスト高、在庫の評価損、粗利益の圧迫
製品別のトレンドとガイダンス
HBM(High Bandwidth Memory)
項目 | 内容 |
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FY25下期の主流製品 | HBM3E(12-high) |
TAM(市場規模)予測 | 今期・前期連続で上方修正:$35B規模へ |
価格動向 | 12-highは8-highに比べ、ビット単価でも上昇 |
市場シェアの目標 | 年末までに自然なDRAMシェアと同水準へ到達 |
FY26の収益見通し | FY25より大幅増加見込み |
生産能力 | ’25年通期で増強中、’27年に向け第2工場も建設中 |
🟢 ポジティブ:高ASPの12-high製品が下期を主導、顧客からの需要も堅調
🟢 ポジティブ:HBM売上は四半期ごとに増加し、2026年は飛躍的拡大へ
LPDDR / SOCAMM(AI向けデータセンター)
項目 | 内容 |
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LPDDRの状況 | 唯一の量産供給企業(NVIDIAと連携) |
SOCAMM対応 | 世界初の量産体制を準備中(Blackwellアーキテクチャ対応) |
データセンター向け全体売上 | Q3で過去最高記録を更新見込み |
🟢 ポジティブ:AIサーバー向けLPDDRが定着、SOCAMMが次の成長ドライバー
🟢 ポジティブ:競合不在の優位性で収益性も高いセグメントに
NAND・SSD動向
項目 | 内容 |
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データセンターSSD | Q3に向けて在庫消化完了 → 需要回復へ |
QLCの採用進展 | AIサーバー向けで大容量QLC SSDが拡大中 |
HDD代替のトレンド | TCO観点でSSDへのシフトが進行、Pure Storageなど採用進展 |
NANDの在庫と原価 | 高コスト在庫がQ4→FY26へ影響、稼働率も依然低め |
🟢 ポジティブ:SSDがHDD代替として浸透開始、TCOメリットで需要拡大へ
🔴 ネガティブ:高コスト在庫が粗利益率に重し、稼働率の回復が課題
地政学リスク・中国メーカー
項目 | 内容 |
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中国系競合(YMTCなど) | 供給は主にDDR4/LPDDR4に限定、DDR5への影響は限定的 |
中国内需との関係 | 一部スマホでローカル供給重視 → Micron製品の構成比が一時低下 |
回復傾向 | スマホ出荷回復+平均容量増(8→12GB)で注文回復中 |
🟢 ポジティブ:競争は主に旧世代製品、最新世代では差別化維持
🔴 ネガティブ:一部中国市場のMicron製品の比率減少
🎤 質疑応答ハイライト
HBM関連(市場規模、製品移行、製造難易度)
Q(BofA Vivek Arya):HBM TAM引き上げの要因は?GPU出荷 or 内容量の増加?
A(Sumit):両方。12-highの採用が早まり、内容量・ASPともに上昇中。Micron自身の出荷も計画上振れ。
Q:HBM3E→HBM4の移行で製造難易度は?
A(Manish):製造上の新技術が必要だが、現在の3Eの経験がHBM4の量産に活きる。
マージン・在庫・コスト動向
Q(BofA, Raymond James):Q4のスタートアップコスト影響は?在庫のコスト高はいつまで?
A(Mark):Q4は30-40bpsの影響。IdahoでのDRAM立ち上げがFY26にかけて拡大。在庫の評価損は概ね解消済み。NANDはまだ高コスト在庫が残る。
データセンター / LPDDR / SOCAMM
Q(Wells Fargo):LPDDR5Xの進展状況とSOCAMMでのシェア維持の見通しは?
A(Sumit):Micronは唯一の量産ベンダー。SOCAMMでも最初の量産となる見込み。LPDDR+高容量DIMMでQ2に$1B突破。
NANDとHDD代替
Q(Mizuho):AIサーバーにおけるQLC SSDの需要は?
A(Sumit):需要増。高密度ストレージへシフト中。HDD代替の流れが顕在化。TCO面でSSD優位。
中国供給の影響
Q(Stifel):中国製メモリの影響はDDR5にも波及しているか?
A(Sumit):現在の影響は主にDDR4/LP4。DDR5は今後の世代、供給の影響は限定的。
投資・供給計画とEPSの持続性
Q(BNPP):HBM成長でFY26以降の投資額増加は不可避?利益率との関係は?
A(Sumit/Manish):HBM成長には後工程設備投資が不可避。長期的には収益性改善へ貢献。ただし非HBM向けDRAM供給とのバランスも重要。
業界ポジショニングと今後のEPS機会
Q(SIG):Micronは“業界最高のポジション”と言われるが、過去最高EPS($15超)を超える可能性も?
A(Sumit/Mark):HBM、LPDDR、データセンターSSDなど高収益領域でのシェア増が顕著。今後の収益性改善は市場回復+製品構成変化により実現可能。特にDRAMでは技術・収益性の両面で好調。
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