ガートナー(ティッカー:$IT)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.98 | $2.72 | 〇 |
売上高 | $1.50B (YoY +2.0%) | $1.53B | × |
ガイダンス 2025通年EPS | $11.7 | $12.16 | × |
ガイダンス 2025通年売上高 | $6.535B | $6.56B | × |
業績ハイライト
連結業績概要
指標 | 2025年Q1実績 | 前年同期比 | 為替中立成長率 |
---|---|---|---|
売上高 | $1.5B | +4% | +6% |
EBITDA | $385M | +1% | +3% |
調整後EPS | $2.98 | +2% | — |
フリーキャッシュフロー | $288M | +73% | — |
契約価値 (CV) | $5.1B | +7% | +7%(FX中立) |
売上貢献率 | 69% | +20bps | — |
- フリーキャッシュフローの増加(+73%) は、キャッシュ回収のタイミングおよび支出管理の成果。
- 為替の影響を除いた場合、売上成長は+6%、EBITDAは+3%。
- 全体としてガイダンスを上回る好決算。
セグメント別業績
Research事業
指標 | 実績 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高 | 非開示 | +4% | 為替中立:+6% |
サブスクリプション売上 | 非開示 | — | 為替中立:+8% |
貢献利益率 | 74% | 変化なし | 高収益性維持 |
契約価値(CV) | $5.1B | +7% | 米連邦政府除く:+8% |
- GTS(IT部門向け)CV:$3.9B(+6%、米連邦除く+7%)
- GBS(非IT部門向け)CV:$1.2B(+11%)
- 米連邦政府ビジネスがCV減少の主要因($63Mの四半期減少のうち80%)
Conferences事業
指標 | 実績 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高 | $73M | +4% | 為替中立:+5% |
調整ベース成長 | — | +12% | 同一カンファレンス比較 |
貢献利益率 | 38% | 季節要因に沿った水準 |
- 予定通り10件の主要会議を開催。
Consulting事業
指標 | 実績 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高 | $140M | +4% | 為替中立:+5% |
労働ベース収益 | $104M | ▲4% | 難しい比較対象に対して減少 |
コントラクト最適化収益 | $36M | +36% | 高変動性ビジネス |
バックログ | $214M | +16% | マルチイヤー契約の増加による |
2025年度通期ガイダンス(更新後)
指標 | 新ガイダンス | 前回比 | 為替影響含む |
---|---|---|---|
売上高(連結) | ≥ $6.535B | ▲ $135M | FX中立:+4% |
Research売上 | ≥ $5.34B | 下方修正 | FX中立:+4% |
Conferences売上 | ≥ $625M | 据え置き | FX中立:+6% |
Consulting売上 | ≥ $575M | 据え置き | FX中立:+2% |
EBITDA | ≥ $1.535B | +$25M | 増益見通し |
調整後EPS | ≥ $11.70 | +$0.25 | 増益見通し |
フリーキャッシュフロー | ≥ $1.145B | 据え置き | GAAP純利益の137% |
質疑応答ハイライト
米連邦政府関連の影響と対応
Q: 米連邦政府ビジネスの影響度と対応は?
A(Safian & Hall):
- 連邦関連CVは$225Mで、Q1更新率は約50%
- 今後Q2更新予定はQ1の半分以下、Q3が次に大きな更新時期(Q1の約75%)
- 優秀なセールスは他部門に再配置中
Q: 契約中途解約の影響と取り扱いは?
A(Safian):
- 通知済みの中途解約:$30M → CVには残存(収益認識は継続)
- 総CVの中では少額
マクロ経済の影響とセールス環境
Q: Q1のセールス環境は?
A(Safian):
- 1月は好調も、2月後半から変調。
- Q1は3月が大半を占め、その内容が通期ガイダンスに反映。
Q: タリフ影響のある顧客の動向は?
A(Hall):
- 影響を受けた企業では意思決定の遅延。
- 通常、ショック後に**再加速(“burst of business”)**するパターンが過去にあり。
コスト管理とキャピタルアロケーション
Q: コスト構造は柔軟に運用?
A(Safian):
- 微調整で“ベルトを一段締めた”程度の調整。
- 販売能力は維持・投資を継続(特に影響を受けていない領域で)。
- 将来の2桁成長に備えるための投資は継続。
Q: 自社株買いの姿勢は?
A(Safian):
- 価格感応的・機会主義的・規律重視のアプローチ
- $2.1Bの現金と年間$1B超のFCF創出力を背景に積極的な買戻し可能
セールス人員戦略
Q: GBSのQBヘッドカウントの成長率が減速?
A(Safian):
- 以前の2桁成長予想→中盤成長に修正。
- ただし、需要が回復すれば採用加速の用意あり。
Q: マルチイヤー契約の解約リスクは?
A(Safian):
- マルチイヤー契約には通常中途解約条項なし。
- 解約によるCV変動を抑制する構造で、事業のレジリエンスに寄与。
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