ゴールドマンサックス(ティッカー:$GS)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $11.58 | $8.68 | 〇 |
売上高 | $14.21B (YoY +16.3%) | $12.93B | 〇 |
業績ハイライト
第1四半期の業績ハイライト
- 純収益は142億ドル、希薄化後EPS11.58ドル、ROE14.8%、ROTE15.9%
- グローバル・バンキング&マーケッツ部門が好調でROE18%
- アドバイザリー、株式引受、債券引受の収益が前年同期比で大幅増
- FICCとエクイティの中間業務が力強く、ファイナンシング収益が過去最高
アセット&ウェルスマネジメント部門の進展
- 運用資産残高が過去最高の2.8兆ドルに到達
- 長期資産の純流入が25四半期連続でプラス
- オルタナティブ投資で140億ドルの新規コミットメントを獲得
- プライベートウェルスの顧客資産が1.5兆ドルに
AI関連の取り組み
- AIインフラ需要の高まりが投資銀行業務の追い風に
- 社内でもAIアプリケーションの活用を進め、生産性向上を目指す
- 開発者の生産性向上と業務効率化に注力
- リスク管理を重視しつつ、慎重にAI技術を導入
株主還元と資本政策
- 普通株式等Tier1比率は標準的手法で14.7%
- 24億ドルを株主に還元(自社株買い15億ドル、配当9.29億ドル)
- バーゼルIII規制案の大幅修正が予想され、資本配分の柔軟性が高まる見通し
- 持続的かつ漸進的な増配を目指す
質疑応答ハイライト
グローバル・バンキング&マーケッツ部門の好調な業績について:
- 特に際立った個別の要因はなく、幅広い分野で顧客活動が活発だった。
- 信用スプレッドの縮小や株式市場の上昇など、良好な市場環境も業績の追い風となった。
- 第1四半期は季節的にも業績が良くなる傾向がある。
プライベートウェルス部門の力強い資金流入について:
- ゴールドマンのウェルス・プラットフォームは超富裕層向けでベストインクラスであり、オルタナティブ投資へのアクセスの良さなどが顧客に評価されている。
- プライベートバンキング活動の拡大も進めており、ウェルスマネージャーとしての地位を強化している。
M&A案件について:
- 現在はスポンサー主導の案件が低調だが、投資家からPEファンドに資本回転の加速を求める圧力が高まっている。
- ゴールドマンのビジネスはスポンサー活動の回復と強く相関しており、今後の追い風となる可能性が高い。
プライベートクレジットについて:
- ゴールドマンは1,300億ドル規模のプライベートクレジット資産を有する大手プレーヤー。
- 信用サイクルを通じてプライベートクレジットのプラットフォームがどう機能するかは不透明な面もある。
- ゴールドマンはシンジケートローンとプライベートクレジットの両方の能力を組み合わせることができ、差別化要因となる。
自己資本規制について:
- Basel IIIルール修正案の方向性はゴールドマンにとって好ましく、自己資本配分の柔軟性が高まると期待される。
- ただし、自己資本配分の最優先事項は常にクライアントのニーズへの対応であり、その次に配当や自社株買いを検討することになる。
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