グローバル-E オンライン(ティッカー:$GLBE)の2024年第4四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.01 | $0.00 | 〇 |
売上高 | $262.91M (YoY +42%) | $250.96M | 〇 |
ガイダンス 2025Q1売上高 | $188M ($184.5M~$191.5M) | $192.68M | × |
📊 業績ハイライト
第4四半期 2024年 (Q4 2024)
項目 | 実績値 | 前年同期比 | コメント |
---|---|---|---|
GMV (流通取引総額) | 17.1億ドル | +44% | ブラックフライデーやサイバーマンデーの好調が寄与 |
売上高 | 2.63億ドル | +42% | サービス料収入: 1.17億ドル (+30%)、フルフィルメント収入: 1.46億ドル (+53%) |
調整後粗利益率 (Non-GAAP) | 46% | +330bps | コスト管理と収益性向上の成果 |
調整後EBITDA | 5710万ドル | +62% | EBITDA率 21.7%、IPO時の長期目標20%を初めて突破 |
GAAP純利益 | 150万ドル | 前年-2210万ドル | IPO以来初のGAAPベースでの黒字化 |
営業キャッシュフロー | 1.29億ドル | +38% | 利益率向上と季節性の影響 |
通期 2024年 (FY 2024)
項目 | 実績値 | 前年比 | コメント |
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GMV (流通取引総額) | 48.6億ドル | +37% | 4年間で6倍の成長 |
売上高 | 7.53億ドル | +32% | 2020年のIPO前と比較して5.5倍の成長 |
調整後粗利益率 (Non-GAAP) | 46.5% | +350bps | 2020年の32%から14.5%ポイント改善 |
調整後EBITDA | 1.41億ドル | +52% | EBITDA率 18.7% |
フリーキャッシュフロー | 1.67億ドル | +22.2% | 営業キャッシュフローの97%に相当 |
純運転資金 | 4.74億ドル | +36% | 高いキャッシュ保有と健全な財務基盤 |
2025年ガイダンス
項目 | 2025年見通し (Midpoint) | 前年比 | コメント |
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GMV (流通取引総額) | 64.9億ドル | +31% | 2025年後半には年間売上10億ドルのランレート到達見込み |
売上高 | 9.42億ドル | +25% | 関税回避のためのマルチローカル戦略で取扱手数料率低下 |
調整後EBITDA | 1.89億ドル | +34% | 長期目標の20% EBITDA率を年間ベースでも達成見込み |
フリーキャッシュフロー | 1.9億ドル超 | +13% | EBITDA成長と営業効率の向上による |
GAAP純利益 | 黒字化見込み | – | Shopify関連の償却費がQ2以降大幅に減少 |
💬 質疑応答ハイライト
Q1. 第1四半期ガイダンスの減速に関する質問 (Wells Fargo: Andrew Bauch)
- 質問: Q4の力強い成長に比べ、2025年Q1のガイダンスは減速しているが、その背景は?
- 回答:
- 成長率鈍化は主に 米国および貿易相手国での関税増加 への対応で、マルチローカル化(現地販売拠点を設けるモデル)の採用増加を想定。
- また、2024年後半の消費需要が異常に強かったことから、2025年は正常化するとの前提。
- 一部の大型顧客(Herod、Victoria’s Secretなど)がQ4に偏重した売上を記録した影響もある。
Q2. 関税増加によるマルチローカル戦略の影響 (Jefferies: Samad Samana)
- 質問: 既に関税増加を懸念している顧客は現れ始めているのか?
- 回答:
- 現時点でも複数の顧客から、米国の関税増加を受けた3B2C(Business to Business to Consumer)やマルチローカル戦略への移行について相談がある。
- 関税によるリスクを軽減しつつ、初期投資を最小限に抑えたいというニーズが高い。
- Ted Bakerの倒産によるサービス料減少も関税影響と同様のトレンド。
Q3. ネットリテンションレート (NRR) 2025年の見通し (Jefferies: Samad Samana)
- 質問: NRRは2024年と比べてどのように推移するか?
- 回答:
- 2024年: NRR 119%、GDR(グロスリテンション率)93.5%
- 2025年: NRRは若干低下(約115%〜118%)する見込み。
- Ted Bakerの破産と一部のBorderfree顧客の再プラットフォーム化拒否が影響。
- しかし、特に消費者電子機器セグメントでは新規顧客の成長が見込まれ、影響は相殺される可能性が高い。
Q4. Borderfreeプラットフォーム移行の進捗 (Morgan Stanley: James Faucette)
- 質問: BorderfreeからGlobal-eへの再プラットフォームにおける課題と進捗は?
- 回答:
- 移行済み: GMVの大半は既にGlobal-eへ移行。
- 未移行: 一部の伝統的小売業者(米国の百貨店や老舗ブランドなど)は、内部優先課題により再プラットフォームを見送った。
- 一部顧客との交渉は継続中で、今後の回復可能性もある。
- 移行済み顧客ではコンバージョン率が大幅に向上。
Q5. ロジテックとの提携と消費者電子機器セグメントの展望 (FT Partners: Matt O’Neill)
- 質問: Logitechの導入は消費者電子機器分野における重要な前進だが、同分野でのクロスボーダーECはアパレルや高級品と比べて複雑。どのように対応しているか?
- 回答:
- Logitechは完全にマルチローカルモデルを採用。
- 消費者電子機器のクロスボーダー販売には輸入制限、関税、複雑な配送管理などの課題が存在。
- Global-eはローカル倉庫の利用や3B2Cモデルを提供し、関税負担の最小化を図っている。
- Jabra、Depologyなど他の電子ブランドもGlobal-eを採用。
🔍 総括
- ポジティブ要因
- GAAP黒字化達成: IPO以来初めて四半期および通年ベースでの黒字化を達成。
- キャッシュフロー: 1.29億ドルの営業キャッシュフローと4.74億ドルの現金保有により財務基盤が強化。
- 大型顧客: Logitech、Spanx、Tom Fordなどの高付加価値ブランドを新規獲得。
- 2025年見通し: 年間売上10億ドルのランレート達成見込み。
- ネガティブ要因
- 関税増加: 米国および主要貿易相手国による関税率引き上げにより、クロスボーダー販売からマルチローカル販売への移行が進み、取扱手数料率の低下が見込まれる。
- Ted Baker破産: サービス料収入の一部減少。
- NRRの低下: Borderfree移行に伴う一部顧客の離脱による影響。
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