決算:GE 2025Q4

決算

GEエアロスペース(ティッカー:$GE)の2025年度第4四半期決算についてまとめます

finviz dynamic chart for GE

決算概要

アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。

結果予想判定
EPS$1.57$1.43
売上高$11.9B
(YoY +20.4%)
$11.2B
ガイダンス
通年EPS
$7.25
($7.10~$7.40)
$7.12

業績ハイライト

1) 2025年通期・4Q:主要KPIサマリー(非GAAP)

指標4Q25前年同期比2025通期前年比コメント(経営陣の言い回しに忠実)
受注(Orders)+74%+32%サービス・機器ともに需要が強い(CES +76%、DPT +61%)
売上(Revenue)+20%+21%両セグメントで2桁成長、特にCESサービスが牽引
営業利益(Operating profit)$2.3B+14%$9.1B+25%サービス量・生産性・価格が牽引、OE増・投資等が一部相殺
営業利益率(Margin)19.2%-90bp21.4%+70bp4Qはミックス(spare engine ratio低下、OE成長、投資)で低下、通期は拡大
EPS$1.57+19%$6.37+38%4Q:増益+税率低下+自社株効果
フリーキャッシュフロー(FCF)$1.8B+15%$7.7B+24%(+$1.5B)通期コンバージョン 110%超、在庫増(26年増産に向け)で一部相殺
バックログ約$190B前年差+約$20B供給制約下でも需要は強い、増産の“宿題”が残る

4Qの利益率(-90bp)要因(会社説明のまま):

  • (+)サービス量・生産性・価格
  • (-)spare engine ratio低下OE成長(9X出荷含む)、投資

2) セグメント別:CES(Commercial Engines & Services)

4Q25

指標4Q25前年同期比補足
受注+76%サービス +18%、機器 2倍超
売上+24%サービス +31% が牽引
サービス:内部Shop Visit売上+30%ボリューム増+ワークスコープ拡大
スペアパーツ売上+25%超材料入手改善→アウトプット増
機器売上+7%エンジン納入 +40%、うちLEAP +49%
利益$2.3B+5%サービス増・価格・ミックス良化が寄与、spare engine ratio低下等が相殺
利益率24%-420bp“計画通り”spare engine ratio低下やR&D増、9X等

2025通期

指標2025前年比
受注+35%
サービス売上+26%
利益$8.9B+26%
利益率26.6%+40bp

現場オペレーションの定量情報(経営陣コメント):

  • ターンアラウンドタイム(TAT)改善:LEAP/CFM56/GE90で4Qに前年比10%超改善
    • Wales:CFM56 +20%改善
    • SOMA:TAT 80日未満を維持
  • LEAPのMRO投資:> $1B投資のうち約$0.5BをLEAP向け、LEAP内製キャパを約2倍にする計画
  • LEAPショップビジット:外部パートナー比率が約15%(MTU Dallasを6番目のプレミアMROに追加)

(+)強み:サービスが高成長、材料入手改善、TAT短縮、LEAP修理認定(parts certified repair)+20%
(-)懸念:spare engine ratio低下、OE成長(特に9X)とR&D増がマージンの重し、供給制約は“まだ十分でない”


3) セグメント別:DPT(Defense & Propulsion Technologies)

4Q25

指標4Q25前年同期比補足
受注+61%防衛Book-to-bill >2
売上+13%Defense & Systems +2%、PAT +33%
防衛ユニット-7%反動(比較が厳しい)だが価格・顧客ミックスが相殺
利益+5%投資・インフレが一部相殺
利益率8.9%-70bp

2025通期

指標2025前年比
受注+9%
防衛Book-to-bill1.5
バックログ$21B+約$3B
売上+11%
利益$1.3B
利益率12.3%+110bp

(+)強み:防衛バックログ積み上げ、通期で防衛エンジン納入 +30%
(-)懸念:4Qはマージン低下、投資とインフレ影響


4) 2026年ガイダンス

全社(非GAAP)

指標2026ガイダンスYoYの示唆
売上低2桁成長商業サービスは中-teens
営業利益$9.85B – $10.25B中央値で**+約$1B(+10%超)**
EPS$7.10 – $7.40中央値で**+約15%**
FCF$8.0B – $8.4Bコンバージョン100%超を継続
税率17%未満“わずかに改善”
自社株(株数減)約1,800万株減資本政策の効果
金利費用約$0.9B

CES(2026)

  • 売上:中-teens成長(サービス 中-teens
    • 内部Shop Visit売上:中-teens
    • スペアパーツ売上:中-teens
    • 前提:エンジン取り外し(removals)低2桁+ワークスコープ拡大+価格
    • LEAP内部Shop Visit:+25%
  • 機器:中〜高-teens、LEAP納入 +15%(ワイドボディの伸びがより高い)
  • 利益:$9.6B – $9.9B(中央値で**+約$1.2B**)
  • マージン感:サービス成長・価格が押し上げる一方、OE成長(9X含む)spare engine ratio低下、投資が相殺し概ねフラット

DPT(2026)

  • 売上:中〜高シングル
  • 利益:$1.55B – $1.65B
  • 追い風:納入増
  • 逆風:インフレ、ミックス、投資

コーポレート/消去

  • $1.2B – $1.3B(前年差増):利息収入減、AI投資、内部PAT成長による消去増

5) 重要トピック:GE9X(9X)損失

  • 2025:「数億ドル」損失(会社想定通り)
  • 2026:損失が前年比で“倍”(出荷増に伴う、ガイダンスに織り込み済み)
    (-)明確な収益圧迫要因として繰り返し言及

6) セグメント再編(報告セグメント変更)

  • 全社指標は不変
  • Aero derivative engines:CES→DPTへ移管
    • 売上 約$1.4B、利益 数億ドルがCESからDPTへ
  • CESにT&Oを取り込み、残存サイトコスト・外部エンジニアリング収益を各事業へ配賦 → corporate cost / eliminationsは“小幅変更”
  • 1Q決算でリキャスト開示予定

質疑応答ハイライト

1) 商業アフターマーケットの勢いと2026サービス中-teens前提(John Godyn, Citi)

Q: 4Qのサービス成長加速は年初も続いているか? 2026サービス中-teensの前提、上振れ余地は?
A(Culp): 年初時点で“懸念なし”。需要は強い。重要なのは需要ではなく供給(スペアパーツ供給、内部Shop Visit実行能力)。上振れは狙うが、鍵は部材を第三者へ出す/自社訪問を完了する能力。組織変更もそのため。
A(Ghai):

  • スペアパーツ:期末のdelinquencyが24年末比+50%(需要が強い証左)
  • 成長ドライバー:ナローボディ(LEAP外部チャネル拡大、LEAP Shop Visitの15%超が第三者)+CFM56も強い
  • CFM56引退率:2026は**約2%**想定(従来2〜3%より“良い”)
  • CFM Shop Visit:2,300〜2,400(2026〜2028)
  • Shop Visit:2桁removals+ワークスコープ増+価格 → 約15%成長の根拠

2) LEAP OE(新造)採算と2,500台/2028の生産体制(Myles Walton, Wolfe)

Q: LEAP OEは26年に損益分岐/黒字化するか? 28年2,500台に向け供給網の追加投資は?
A(Culp): 新造とアフターは同じサプライチェーンで切り分けできない。25年にサプライチェーンの可視性を深掘りし改善。今後資本投資は各所で必要。プロセス改善・能力拡張で需要に追随する。
A(Ghai): LEAP OEは2026年に黒字化見込み


3) ターンアラウンドタイム改善の中身と財務反映(Douglas Harned, Bernstein)

Q: CFM56/GE90など成熟エンジンでTAT改善は内部/外部どちら? 何がレバー? 財務にどう効く?
A(Culp): 数値は内部拠点のTAT。要因は(1)材料の可用性 (2)標準作業の効率的実行。

  • 供給が“量だけでなく予見性”も改善(優先サプライヤーがコミットに90%超で納入)→ 現場が止まらず生産性が上がる。
  • 財務:完了Shop Visit増で売上増、かつ待ち時間削減で生産性アンロック

4) 9X損失の規模と26年の四半期ケイデンス(Scott Deuschle, Deutsche Bank)

Q: 2025の9X損失と26年の追加損失は? 26年CESの四半期利益の流れは?
A(Ghai):

  • 2025:数億ドル損失で想定通り
  • 2026:出荷増で損失が前年比“倍”(ガイダンス織り込み)
  • 1Q26:全社で高-teens売上成長見込み(CES/DPTとも通期ガイダンスを上回るスタート)
    • 25年1Qは出足が遅かった反動
    • 25年1QのCMO/CMR(発言は“CMO/CMR charge”)一過性費用が再発しない
    • ただし25年1Qはspare engine出荷が強かったため、その反動はあり
    • 1Q26は9X出荷あり(25年はなし)
  • マージン:spare engine ratio低下+9Xで重いが、費用再発なしとサービス増で相殺し、4Q25比で横ばい〜やや改善

5) CESマージンがフラットの理由(Sheila Kahyaoglu, Jefferies)

Q: 26年CESマージンがフラットの背景(9X、spare比率、LEAP/CFMミックス等)を分解してほしい
A(Ghai):

  • サービス売上+約$3.5Bの増加が強いドロップスルー
  • ただし(-)OE出荷増、(-)spare engine ratio低下、(-)9X出荷、(-)R&D
  • なお、25年マージンは10月時点想定より**+70bp良かった** → “高い出発点”から26年フラット

6) 26年以降のCESマージン方向性(Seth Seifman, JPMorgan)

Q: 既知のミックス逆風がある中、26年以降のマージンはどう見るべき?
A(Culp): 26〜28にも逆風はあるが、それを上回る伸びがある。installed base拡大、利用増、ワークスコープ、価格が商業サービス利益を押し上げる。9Xも将来的には改善させたい。防衛も伸びている。28年**$11.5B利益**(上振れも)を目指す。
A(Ghai): 28年に21%程度マージンと言っていたが、それを25年に達成。出発点が想定より良い。

  • CFM56:引退率が低く、Shop Visit 2,300〜2,400が見通し改善
  • LEAPサービス:外部チャネル拡大、修理認定増、Shop Visit増で生産性改善
  • ワイドボディ(GE90等):引退は“ほぼない”という前提で追い風

7) 年間R&D約Bの使途(Ron Epstein, BofA)

Q: R&Dが大きい。何に使っている?
A(Culp):

  • まずは稼働中/立上げ中の新しめプログラムの顧客価値向上(例:LEAP durability kitでTime on wing改善)
  • 9X(777X向け)も重点
  • 将来技術:RISEは“技術開発(Technology development)”だが大きな比率
  • 防衛:次世代プログラムにも相当部分

8) CFM56引退率低下とピーク時期(Gavin Parsons, UBS)

Q: CFM56引退が2%と低い理由、3〜4%へ上がる想定か、Shop Visitピークは27年か?
A(Culp): 航空需要が強く、航空会社が機材を使い続けている。

  • 2025:引退率 約1.5%(24年並み)
  • 2026:約2%(7月時点の2〜3%から“より良い”)
  • Shop Visit:2,300〜2,400を28年まで(7月は2,300を“ソフトに”見ていた)
  • 2030頃から緩やかに低下見込み、当面“stronger for longer”

9) 第三者アフターマーケット関連の合意と、26→28のFCF(Noah Poponak, Goldman)

Q: 発表された合意(第三者アフター関連)の意味は? 26年FCFが強いが一過性は? 26→28の橋渡しは?
A(Culp): GEはオープンな第三者アフターマーケットを重視。顧客に選択肢を提供し資産価値・TCOに寄与、それが合意の基盤。
A(Ghai): 26年FCFに異常はない。

  • 25年は在庫が約$2B増(供給改善が“まだ完全ではない”ことと、26年増産の投資)
  • 26年は契約資産(contract asset)の追い風が小さくなるが、在庫増が鈍化して相殺
  • 25年の運転資本+AD&Aはネットで約$0.5B逆風、26年は“それより少し小さい逆風”想定(低2桁増収でも健全)

10) 顧客行動(オーバーホール範囲・価格抵抗など)の変化(Gautam Khanna, TD Cowen)

Q: アフターで顧客行動に変化(スコープ、価格抵抗)は?
A(Culp): 目立つ変化はない。需要は強く、顧客は“もっと早く”を求める(安全・品質は妥協なし)。CFM56が安定→エンジン高齢化でスコープ拡大の局面はあり得るが、全体として不連続は見ていない。


総括

(+)株価にポジティブになり得る材料

  • 数字の強さが本物:通期で受注+32%、売上+21%、営業利益+25%、EPS+38%、FCF+24%(コンバージョン110%超)。単発要因ではなく「サービス量×価格×生産性」の構造で伸びている。
  • ガイダンスが高水準:26年EPS +約15%、FCF $8.0–8.4B、利益$10B近傍。しかも“需要に懸念なし”と繰り返し明言。
  • CFM56が“強いまま長持ち”:引退率が低く、Shop Visit 2,300〜2,400の見通し。成熟エンジンのキャッシュ創出が想定以上に長引くのは、短期の利益・FCFには追い風。
  • LEAPの改善が定量で前進:durability kit、修理認定+20%、外部チャネル比率15%、内部Shop Visit +25%見込み。**LEAP OE黒字化(26年)**も明言。

(-)株価にネガティブになり得る材料

  • 供給制約が依然“ボトルネック”:経営陣自身が、上振れ可否は「需要ではなく、スペア供給とShop Visit実行力」と断言。つまり、市場が良いのに取りこぼすリスクがまだ大きい。
  • スペアの滞留が悪化:期末delinquencyが**+50%**。これは需要が強い証左である一方、顧客満足・納期・稼働率へのストレスでもある。改善のスピードが遅ければ、価格交渉力や関係に傷がつく。
  • CESマージンが“伸びない”:サービスが伸びるのに26年マージンはフラット想定。理由は明快で、spare engine ratio低下、OE(特に9X)増、R&D・投資が食う構図。高成長局面でマージンが伸びないのは、質の議論として厳しい。
  • 9Xが損失拡大:25年「数億ドル損失」→26年「損失倍」。出荷増=損失増という説明は、投資家にとって最も嫌われるパターン。777Xの進捗次第で“長引く懸念”も残る。
  • 在庫が膨らみやすい体質:25年在庫+約$2B。26年は鈍化見込みでも、供給が完全でない以上、在庫で吸収して回す構造が続くリスク。景気後退局面に入ると一転して重荷になり得る。

結論

  • 短期(2026年):需要の追い風は非常に強く、ガイダンスも高い。上振れの鍵は“供給と実行”。ここを外すと、好況でも機会損失が出る。
  • 中期(〜2028年):会社は28年利益$11.5Bを示し「上振れ余地」も示唆するが、最大リスクは**(1)供給網の持続的改善が想定通り進まないこと、(2)9Xの損失が想定以上に長期化すること、(3)OEミックス逆風でCESマージンが伸び悩むこと**。
  • 株価インプリケーション:足元は「好業績×強ガイダンス」で支えられやすい一方、評価が上がるほど市場は“実行(供給改善)”と“9Xの損失管理”を厳しく見る。サプライ改善の証拠(滞留・TAT・Shop Visit完了のさらなる定量改善)が次の株価ドライバーになり、逆にここが鈍ると失望が出やすい構造。

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