データドッグ(ティッカー:$DDOG)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $0.46 | $0.42 | 〇 |
売上高 | $762M (YoY +24.7%) | $741.2M | 〇 |
ガイダンス 2025Q2EPS | $0.41 ($0.40~$0.42) | $0.41 | 〇 |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $789M ($787M~$791M) | $770.47M | 〇 |
ガイダンス 通年EPS | $1.66 ($1.61~$1.71) | $1.70 | × |
ガイダンス 通年売上高 | $3.225B ($3.215B~$3.235B) | $3.20B | × |
業績ハイライト
売上と顧客数の推移
項目 | 数値 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | $762百万 | +25% |
顧客数 | 約30,500社 | 約+2,500社(前年は28,000社) |
年間ARRが$100,000以上の顧客 | 約3,770社 | +13%(前年は3,340社) |
フリーキャッシュフロー | $244百万 | フリーキャッシュフローマージン32% |
プラットフォーム採用の拡大
利用製品数 | 利用比率(2025年Q1) | 前年同期比 |
2製品以上 | 83% | +1pt |
4製品以上 | 51% | +4pt |
6製品以上 | 28% | +5pt |
8製品以上 | 13% | +3pt |
- Flex Logs: ARR $50百万超(6四半期で達成、最速の成長)
- Database Monitoring: ARR $50百万に接近、YoY +60%、5,000社超が採用
セグメント別成長
- AIネイティブ顧客:ARRの8.5%(前四半期は6%、前年比は3.5%)
- 売上成長の6ポイントに寄与(前四半期5ポイント)
- 大口契約:TCV$10百万超の契約を11件獲得(前年は1件)
- チャーン率:依然として低水準、粗収益維持率は90%台中盤〜後半で安定
新規顧客および拡張契約事例(いずれも年換算で7桁契約)
- 米国大手自動車メーカー:13製品導入、10以上のツールを統合
- 中南米銀行:6製品導入、3製品をリプレース
- 米ペット用品大手:11製品導入、7製品をリプレースし、年間$1百万以上のコスト削減期待
- 保険テック企業(復帰事例):10製品導入、Flex Logs・Cloud Cost Management等を使用
- 米国大手健康保険会社:17製品を利用、MTTRが数時間から数分に短縮
- 次世代AI企業:5製品導入、APMとログ管理ツールをDatadogに統一
セキュリティ・AI関連の進捗
- セキュリティ製品:7,500社が利用(顧客の1/4)、Fortune500の半数超が導入
- LLM Observabilityの利用企業:過去6カ月で2倍に
- Bits AI強化:ワークフロー自動化、App Builder導入
地域展開とM&A
- オーストラリアに新データセンター開設予定(データレジデンシー対応)
- Eppo買収:実験管理プラットフォーム、製品分析強化
- Metaplane買収:データ可観測性強化、AIワークロード支援
ガイダンス(見通し)
区分 | 売上 | 営業利益 | EPS |
Q2 2025 | $787M〜$791M(YoY+22〜23%) | $148M〜$152M | $0.40〜$0.42 |
FY2025 | $3.215B〜$3.235B(YoY+20〜21%) | $625M〜$645M(OPM: 19〜20%) | $1.67〜$1.71 |
- DASHカンファレンス費用:約$13百万をQ2に計上予定
- 営業費用:為替の影響(+15百万ドル)、M&A関連費用(+10百万ドル)
- フリーキャッシュフローマージン:32%
質疑応答ハイライト
AIによるコード生成とDatadogの価値
Q(JPMorgan): AIがコード生成の主流になったとき、Datadogの役割は? A(Pomel): コード生成の価値は下がり、コードを”観測・検証”する重要性が高まる。運用環境での性能・品質を担保するDatadogの役割がより重要に。
AI顧客の成長寄与と大型案件の背景
Q(JPMorgan): AI関連売上と11件の大型案件について詳細は? A(Obstler): 営業人員の拡充が奏功。AI顧客は使い始めが早く、規模が急拡大。クラウド・オブザーバビリティはコスト削減につながるため、マクロ不安の中でも投資継続されている。
データ可観測性の将来性
Q(Morgan Stanley): Metaplane買収によるデータ可観測性分野への展望は? A(Pomel): 当初は小さい市場と見ていたが、AI導入においてデータパイプラインの信頼性が重要になっている。Kafka、Spark、DB監視など既存製品とMetaplane統合で差別化可能。
粗利益率低下と対策
Q(Barclays): 粗利益率が前年より低下。原因と対策は? A(Obstler): 新製品投入によるクラウドホスティングコスト増と、特定顧客の急成長によるインフラ逼迫。今後は効率化を進め、過去の水準(80%以上)への回帰を目指す。
AIインフラ監視と製品拡充
Q(Goldman Sachs): AI推論向けワークロードでの機会拡大は? A(Pomel): LLM Observabilityは成長中だが、GPU層やエージェント層向けにさらなる製品投入を準備中。
Flex Logsの市場シェアと差別化
Q(William Blair): ログ市場の競争とFlex Logsの差別化は? A(Pomel): Flex Logsはコスト効率と新ユースケース対応に優れ、既存のログ製品を補完・拡張。競合製品のリプレース機会が増加しており、販売体制を強化中。
営業人員の生産性
Q(Mizuho): 営業投資の生産性は期待通りか? A(Obstler): 各地域やターゲット市場での生産性は想定通り。人員の配置を慎重に行い、無駄のない増員を実現。
推論とエンタープライズAIの進展状況
Q(Evercore): AIネイティブ以外の企業におけるAI推論導入の兆しは? A(Pomel): AIネイティブ顧客は推論中心。エンタープライズ側では本格的な推論導入はこれからだが、下地は整いつつある。
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