シェブロン(ティッカー:$CVX)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.18 | $2.15 | 〇 |
売上高 | $47.61B (YoY -2.3%) | $48.39B | × |
業績ハイライト
売上・利益・キャッシュフロー
指標 | 数値 | 前四半期比 | 備考 |
---|---|---|---|
純利益(GAAP) | 35億ドル | – | 一株当たり2.00ドル |
調整後純利益 | 38億ドル | +2億ドル | 一株当たり2.18ドル |
特別項目 | ▲1.75億ドル | – | 法務・税務費用、Hess株評価益で相殺 |
保証関連影響 | ▲1.38億ドル | – | 利益減要因 |
営業キャッシュフロー(除く運転資本) | 76億ドル | – | カナダ資産売却に伴う税金支払いで運転資本流出 |
運転資本の巻き戻し見込み | +10億ドル | 年内見込み | |
株主還元 | 69億ドル | – | 配当+自社株買い |
ポジティブ: キャッシュフロー・株主還元ともに強力な水準を維持。
設備投資(CapEx)
区分 | 金額 | 前年比 | 備考 |
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オーガニックCapEx | 35億ドル | 最低水準(2年ぶり) | 継続的な資本効率の向上 |
非オーガニックCapEx | 4億ドル | – | 主にPower Solutions事業への投資 |
2025年CapExガイダンス | ▲20億ドル | 対前年 | 関連会社CapExも含めた削減幅 |
ネガティブ: 投資抑制が今後の成長制約に繋がる懸念も。
生産・プロジェクト進捗
地域/案件 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
TCO(カザフスタン) | FGPがわずか30日で定格容量に到達 | 第3四半期に10億ドルのローン返済も見込む |
バリモア油田(米メキシコ湾) | 初期油流達成 | 2026年までに30万boe/dの増産見込み |
パーミアン | 2Qより100万boe/dの持続成長へ | 増加するフラク作業の寄与 |
パサデナ製油所 | 増強完了、稼働安定 | 処理能力125千bpdへ拡大、Pascagoulaとの連携強化 |
ポジティブ: TCOとバリモアの順調な立ち上がりが業績の柱。
株主還元と資本政策
- 2025年2Q自社株買い予定:25〜30億ドル
- 通年の自社株買いガイダンス:100〜200億ドル(据え置き)
- 配当:38年連続増配(年初に5%増)
- ネット有利子負債比率:14%(目標レンジ20〜25%の下限)
ポジティブ: 厳格な資本規律と持続的株主還元を両立。
成長戦略と事業拡大
施策 | 内容 |
---|---|
Hess株取得 | 約5%取得済、発行株数削減効果:約1,600万株 |
探鉱・将来プロジェクト | 探鉱エーカー:1,100万ネットエーカー増加(前年初来) |
Eastern Med(アフロディーテ) | 日量8億cfのガス、エジプトへ供給予定、Pre-FEED開始 |
Power Ventures | AIデータセンター向け電力ソリューションを展開中、年内FID目標 |
ポジティブ: 新領域(AI電力、東地中海ガス等)で先行優位を確保。
質疑応答ハイライト
TCO(Future Growth Project)進捗と延長交渉
Q(Goldman Sachs): TCOの立ち上げ状況と2033年以降の延長協議は?
A(CEO):
- FGPは30日で定格稼働。過去の教訓を活かし迅速に立ち上げ。
- 大統領とも会談し、「延長に向けた前向きな意思」を確認。
- 交渉は複雑だが、「良い方向に向かっている」。
カリフォルニア製油所市場の動向
Q(BofA): 他社の精製所閉鎖を受けてのChevronの立場は?
A:
- 規模・複雑性・ブランドに優れる2つの製油所を保有。
- カリフォルニア政策が「極めて投資困難」に。
- 州の介入は「中央計画経済のようで非合理」、今後も注視。
自社株買いの柔軟性と方針
Q(RBC): 原油60ドル水準では買戻し継続できるのか?
A:
- 原則は「配当 > 成長投資 > 強固な財務 > 買戻し」。
- ガイダンス(10〜20Bドル)は価格変動を織り込み済み。
- 過去3年の買戻しは過去最高水準、今後も柔軟に対応。
- FCF成長見込みは「60ドルでも9Bドル増加」と自信あり。
米メキシコ湾(GoM)の将来展開
Q(Jefferies): Ballymoreなどの展開ステップと課題は?
A:
- Ballymoreは3井で75,000 bpdを想定。2井稼働中、年内に3井目。
- Anchorも順調、残り2井は’26〜’27年完了予定。
- 天候リスク除けば「順調な進行が見込まれる」。
パーミアン盆地での生産性向上
Q(Piper Sandler): Delaware Basinの生産性改善要因は?
A:
- Second Bone Spring(NM)が予想上回る結果。
- Wolfcamp A/Cも好調で2025年も同水準を想定。
- 油カット比率:43〜45%と高水準、今後も安定見込み。
Eastern Med開発(アフロディーテ)
Q(Scotiabank): キプロスでのガス開発計画の詳細は?
A:
- 8億cf/dを想定、エジプトへ供給。
- Pre-FEEDに進行、競争力あるリターンが条件。
- 探鉱ポートフォリオの80%が既存Hubとの接続範囲。
CPChemと化学事業の将来
Q(Evercore): CPChemの投資見通しと完全子会社化の可能性は?
A:
- サイクル的には底だが長期見通しは良好。
- 中東・米国でのプロジェクトは2026〜2027年稼働予定。
- 相手方に持ち分取得の意向を伝達済、今後の進展に期待
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