シーラスロジック(ティッカー:$CRUS)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.67 | $1.18 | 〇 |
売上高 | $424.46M (YoY +14.2%) | $380.26M | 〇 |
ガイダンス 2025Q2売上高 | $360M ($330M~$390M) | $346.06M | 〇 |
業績ハイライト
業績ハイライト
売上高・成長率
期間 | 売上高 | 前年比成長率 | 備考 |
---|---|---|---|
2025年Q4 | $424.5M | +14% | ガイダンス上限を上回る |
通期(FY2025) | $1.9B | +6% | 最新製品およびスマートフォン出荷台数の増加が主因 |
2026年Q1 ガイダンス | $330M〜$390M | -4%(中央値) | 前期比 -15%、マクロ環境・通商リスクを加味 |
ポジティブ要素: 売上はガイダンス上限超え、通期では6%成長
ネガティブ要素: Q1見通しは前年比マイナスで保守的なガイダンス
利益・マージン
項目 | Q4 2025 | 通期 2025 | 備考 |
---|---|---|---|
非GAAP粗利益 | $227.1M | $997.4M | – |
非GAAP粗利益率 | 53.5% | 52.6% | より好ましい製品構成により改善 |
非GAAP営業利益 | $107.1M | $503.3M | 営業利益率:26.5%(前年比+1.5pt) |
非GAAP純利益 | $90.6M | $416.6M | EPSは$7.54(前年比+14%) |
ポジティブ要素: 粗利益率・営業利益率ともに改善、EPSは過去最高
ネガティブ要素: 棚卸資産回転日数は138日へ悪化(+40日)
キャッシュフローと資本政策
項目 | 値 |
---|---|
通期営業CF | $444.4M |
通期フリーCFマージン | 22% |
通期自社株買い | $261M(2.3M株、平均$112.33) |
現金・投資残高 | $835M |
新規自社株買い枠 | $500M(2025年3月承認) |
ポジティブ要素: 強固なキャッシュポジション、継続的な株主還元
ネガティブ要素: 棚卸資産の積み上がり
業績見通し(FY2026 Q1)
指標 | ガイダンス |
---|---|
売上高 | $330M〜$390M |
粗利益率 | 51%〜53% |
営業費用(非GAAP) | $119M〜$125M |
税率(非GAAP) | 21%〜23% |
質疑応答ハイライト
主力顧客の売上構成比と通商リスクの影響
Q(Gary Mobley): 主力顧客の売上比率は?通商リスクを受けた前倒し需要は?
A(Forsyth CEO): 主力顧客の構成比は89%。一部で小規模な前倒し出荷があった可能性はあるが、業績へは「限定的」な影響。発表自体は3月期後だったため、主な影響は次期以降。
PC市場での進展と売上規模の見通し
Q(Mobley): PC関連の進捗とFY2026の期待売上は?
A(Forsyth CEO):
- FY2025:数千万ドル規模(”low tens of millions”)に到達
- FY2026:倍増を見込む
- 出荷SKU数:FY2024に高2桁、FY2025で大幅増、FY2026には150超のSKUで採用見込
- プレミアム帯から中価格帯への浸透も進展
高性能ミックスドシグナル(HPMS)の今後
Q(Actel): HPMSがオーディオを上回る見通しは継続か?
A(Forsyth CEO):
- 長期的にHPMSがオーディオを上回ると考える
- 直近はオーディオ側で大規模な更新(新コーデックとブーステッドアンプ)あったため一時的に構成比は均衡状態に
自動車市場での展望
Q: 自動車市場での商機と時期は?
A:
- 従来はレガシー製品で既に出荷あり
- 最近はタイミングICや高性能オーディオで新規投資
- 中長期的には10億ドル規模のSAM拡大を見込むが、商用化には時間がかかる可能性
カメラコントローラの採用動向と成長余地
Q(O’Malley): カメラコントローラは下位機種への拡大が進んでいる?今後の成長余地は?
A:
- 下位価格帯への初採用があり「非常に嬉しい展開」
- 成長のベクトル:
- 製品あたりの搭載数増
- プロセッシング能力の強化
- 多チャンネル化
- 今後も価値の向上は可能と考えており、開発ロードマップも充実
FY2026の主力顧客へのコンテンツ成長見通し
Q(O’Malley): 前年のようなコンテンツ成長(特にオーディオ)はFY2026でも見込まれるか?
A:
- FY2026は大規模オーディオ更新後の「ウォーターフォール年」であり、数量的なスケーリングが貢献
- 中長期ではカメラコントローラ、電源管理、バッテリー関連の成長機会もあり
通商リスクとサプライチェーンの地理的分散
Q(Svanberg): 6月期(Q1 FY26)における需要の変調は?
A(CFO Woolard):
- 現時点で異常な需要行動は見られず「比較的安定」
- 顧客側でも地理的分散を進めており、Cirrusも対応中
一般市場(General Market)製品の狙いと規模感
Q: 一般市場製品の意図とタイミング製品のIP由来は?
A:
- MEMSとは無関係のタイミング製品
- 過去は主に大口顧客に注力していたが、IP資産活用によりカタログビジネスを活性化中
- 音響、タイミング、イメージング向けAFEなどで好評を得ており、長寿命かつ高マージンな事業
- 長期的には全体売上の10%以上を占める可能性あり
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