コインベース(ティッカー:$COIN)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.93 | $1.98 | × |
売上高 | $2.03B (YoY +23.8%) | $2.09B | × |
業績ハイライト
売上・利益・成長率
項目 | Q1 2025実績 | QoQ成長率 | コメント |
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総売上高 | $2.0B | – | 全体的に力強いパフォーマンス |
トランザクション収益 | $1.3B | -19% | 消費者取引減とリベート影響あり |
消費者取引高 | $78B | -17% | 消費者収益は -19%減 |
機関投資家取引高 | $315B | -9% | 収益は -30%減(リベートと低手数料の影響) |
サブスクリプション&サービス収益 | $698M | +9%(過去最高) | 主因:USDC収益の伸長(+32%) |
調整後EBITDA | $930M | – | 高い収益性を維持 |
GAAP純利益 | $66M | – | |
調整後純利益(新KPI) | $527M | – | 仮想通貨投資損益を除外した指標 |
ポジティブ要素 ✅:
- サブスクリプション&サービス収益が過去最高
- USDC保有額と収益が大幅増加
- 調整後EBITDAは高水準を維持($930M)
ネガティブ要素 ⚠️:
- トランザクション収益が大幅減少(-19%)
- 機関向け収益の落ち込み(-30%)
プロダクト・事業戦略の進展
コア事業(取引・USDC)
項目 | 実績・進展 |
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グローバルデリバティブ取引高 | $800B超 |
Deribit買収 | $2.9B(現金$700M+株式)にて合意。市場シェア75%、$1Tの取引実績 |
USDC市場シェア | 時価総額$60B(過去最高)、Coinbase内USDC平均保有額:$12B(+49% QoQ) |
Baseチェーン上USDC残高 | $4B(+12% QoQ) |
Portfolio Margin 2.0 | 機関投資家のレバレッジ取引支援機能を強化 |
新興事業(次世代ユースケース)
項目 | 実績・進展 |
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ステーブルコイン決済 | SMB向けB2B決済口座のパイロット準備(Q2開始) |
オンチェーン融資 | Bitcoin担保USDCローン:$160M(100日間で急成長) |
Baseチェーン強化 | Spindle(広告配信)、Iron Fish(プライバシー送金)を買収 |
国際展開・規制対応
項目 | 実績・進展 |
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アルゼンチンでVASP登録 | 法的ライセンス取得で展開加速 |
インドFIU登録 | 世界最大規模市場への参入確保 |
SEC訴訟の却下 | 規制明確化に向けた業界の転機 |
業績見通し(Q2ガイダンス)
項目 | Q2ガイダンス |
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トランザクション収益(4月実績) | $240M(4月)、前月比 -12% |
サブスクリプション&サービス収益 | $600M~$680M |
テック&管理費用 | $700M~$750M(インフラ等の可変費減) |
マーケティング費用 | $215M~$315M(USDC報酬とパフォーマンス次第) |
Deribitの影響 | 収益性即時改善、EBITDA貢献あり |
質疑応答ハイライト
自社株買いと株式希薄化への対応
Q: 株主還元策(自社株買い)は?
A: $1Bの自社株買いプログラムを継続中。今四半期はRSUの税金支払いを含め$100M相当の株式希薄化を防止。
暗号資産保有戦略
Q: 企業として仮想通貨を蓄積する意図は?
A: Q1に$150Mの暗号資産(主にBTC)を購入。ポートフォリオの時価は$1.3B(純現金の25%相当)。
競争環境とTAM拡大
Q: 新規参入(例:TradFi)の脅威は?
A (Brian):
- 規制明確化で新規参入が加速 → Coinbaseの機会増大
- Coinbaseはインフラ提供者でもあり、他社の裏方として利益を得られる
- ETF承認でも保管・取引で価値を享受した好例
Deribit買収の戦略的意義
Q: クロスセルの可能性やシナジーは?
A:
- 選択肢取引+既存のスポット/先物で統合プラットフォーム実現
- 国際的なデリバティブ展開の加速
- 即時に収益性に寄与(EBITDAベースでの増加)
USDCパートナーシップと収益分配
Q: Binanceとの連携は?
A:
- Circleとの契約でCoinbaseは自社製品上のUSDC利息収益の100%取得
- Binance等への収益分配は全体時価拡大によるネットワーク効果狙い
- USDCは米ドル裏付け型で最も成長しているステーブルコイン
TradFiとの連携とインフラ提供
Q: 既存金融機関との関係性は?
A:
- BlackRock, Stripe, PayPalなど100社超がCoinbase Prime等を活用
- 今後もカストディ、決済、トレーディングで「Crypto as a Service」を提供予定
将来像と戦略的方向性
Q: Coinbaseは将来どうなるのか?
A:
- 5~10年後には「世界No.1の金融サービスアプリ」を目指す
- 伝統金融商品を取り扱うよりも、オンチェーンでの革新に注力
銀行ライセンス取得の必要性
Q: 銀行業への参入はあるか?
A:
- 現状の規制案ではライセンス不要
- フルリザーブモデルを重視、リスク回避とプロダクトスピード維持を優先
オプション市場とDeribitの優位性
Q: なぜDeribitが市場シェア75%を獲得できたか?
A:
- プロトレーダーに適した製品群、信頼できるカウンターパーティとしての地位
- 他社が追随できない製品力とトレーディング体験の提供
デリバティブの米国展開
Q: 米国でのオプション/パーペチュアル提供は?
A:
- CFTCと協働で段階的に承認取得へ
- 目先は先物取引拡大と制度整備が焦点
USDCの収益性とリワード
Q: USDC残高の増加とP&Lインパクトは?
A:
- Q1のUSDC収益は$298M、リワードは約$100M → 残りは高利益率の収入に
- リワード付与によりエンゲージメントと取引活性化を実現
M&A戦略
Q: Deribit以外にも大型買収を狙っているか?
A:
- 強固なバランスシートと規制明確化を背景に「大きな賭け」に備える
- 今後もM&Aを成長加速の柱とする意向
コメント