ブラックロック(ティッカー:$BLK)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $11.30 | $10.21 | 〇 |
売上高 | $5.28B (YoY +11.6%) | $5.31B | × |
業績ハイライト
売上・利益の概要
項目 | 金額 | 前年同期比 | コメント |
---|---|---|---|
総収益 | $5.3B | +12% 🟩 | 市場上昇とオーガニック成長、GIP統合による貢献 |
営業利益 | $2.0B | +14% 🟩 | 組織的成長分野が収益性に寄与 |
1株当たり利益(EPS) | $11.30 | +15% 🟩 | 税率の低下と株式発行増が影響 |
純資産・フロー・AUM
項目 | 金額 | コメント |
---|---|---|
運用資産残高(AUM) | $11.6兆 | 過去最高水準 🟩 |
純資金流入額 | $84B | 機関投資家の低料金インデックスからの流出($55B)を除くと $140B の流入 🟩 |
過去12ヶ月の純流入額 | $670B | うち60%以上がオーガニック成長 🟩 |
部門別フローと成長
セグメント | 流入額 | コメント |
---|---|---|
ETF | $107B 🟩 | コア株式($46B)と債券($34B)主導。アクティブETF($9B)、デジタル資産ETP($3B)も貢献 |
リテール | $13B 🟩 | Aperioと固定収入戦略、システマティック戦略が牽引 |
機関投資家(アクティブ) | $8B 🟩 | インフラやLifePath戦略が牽引。固定収入は一部解約で減少 |
機関投資家(インデックス) | ▲$46B 🟥 | 主に低料金株式インデックスからの解約 |
プライベートマーケット | $7B 🟩 | インフラ・プライベートクレジット中心 |
キャッシュマネジメント | $1B 🟩 | Circle Reserve Fund成長が寄与、米国政府系ファンドの季節要因による解約を一部相殺 |
技術関連収益・その他
項目 | 金額・成長率 | コメント |
---|---|---|
テクノロジー収益(Aladdin他) | +16% 🟩 | Preqinの統合($20M)と堅調なACV(年契約価値)増加(YoY +30%、うちオーガニック +14%) |
パフォーマンスフィー | $60M(YoY減少) 🟥 | プライベートマーケットとリキッドオルタナティブの低調 |
調整後税率 | 16% | 株式報酬関連の税効果を含む($195M) |
オペレーティングマージン | 43.2%(YoY +100bps) 🟩 | マーケット上昇と構造的成長による収益向上 |
成長戦略・資本施策
- GIP、Preqin、HPS買収によるプラットフォーム強化(HPSは2025年中頃のクロージング予定)
- Viridium(ドイツ大手生命保険会社)への出資:プライベートクレジット・インフラ投資の展開拡大
- ETF事業は価格競争にもかかわらず堅調(第1四半期の価格改定なし)
- 自己株式取得:$375M(今後も四半期あたり同水準を予定)
質疑応答ハイライト
クライアントの資産配分傾向(Morgan Stanley)
Q: 世界の不透明感の中、機関・リテールの資産配分に変化はあるか?
A(Fink氏):
- 現在、キャッシュへの流入が増加(4月に$20B)しているが、これは一時的と想定
- 株式からの大きな売却は観測されておらず、多くの投資家が追加購入のタイミングを模索中
- インフラ投資への需要は継続的に強い(ミッドティーンのリターンへの期待)
- システマティック戦略への関心が拡大中、ファンダメンタル株式からの移行も議論され始めている
プライベート資産のDC導入(BofA)
Q: 401(k)等の退職年金における私募資産の導入計画と規制の影響は?
A(Small氏):
- グライドパス技術と商品設計はすでに準備済み
- 年内にプライベート市場を組み込んだターゲットデート型商品をローンチ予定
- 中小規模のプランスポンサーや信託銀行主導のプラットフォームからの需要が特に高い
- 拡大には訴訟リスク回避や規制整備が必要
地政学的変化と海外戦略(Goldman Sachs、Wells Fargo)
Q: 米国との緊張が高まる中、BlackRockの海外戦略の変化は?
A(Fink氏):
- 新たな買収は予定していないが、各国政府との連携による現地展開を強化中
- 例:
- インド:JioとのJVで個人向け投資商品を提供予定
- サウジアラビア:MBS市場開発支援
- 欧州:ETFプラットフォームの拡大(AUM $1兆突破)
- 今後も3ヵ国以上に新規オフィスを開設予定
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