Broadcom(ティッカー:$AVGO)の2024年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.099 | $1.042 | 〇 |
売上高 | $11.961B (YoY +34%) | $11.72B | 〇 |
ガイダンス 2024通年売上高 | $50B | $50.01B | × |
業績ハイライト
Q1 2024の業績ハイライト
- 連結売上高は前年同期比34%増の120億ドル
- VMware社の買収によりインフラストラクチャソフトウェア事業の売上高が前年同期比153%増加
- 半導体ソリューション事業の売上高は前年同期比4%増の74億ドル
- AIによる売上高が前年同期比4倍増の23億ドルとなり、企業やテレコムにおける景気減速の影響を相殺
インフラストラクチャソフトウェア事業の見通し
- VMwareのブッキングスが急増しており、2024年度を通して売上高の二桁成長が見込まれる
- VMware Cloud Foundation (VCF) に対する強い需要により売上高が押し上げられる見通し
- 2024年度のソフトウェア売上高のガイダンスを200億ドルで据え置き
半導体ソリューション事業の見通し
- AIによる売上高は当初予想の75億ドル超から100億ドル超に上方修正
- ネットワーキング製品の売上高は35%以上の成長見通し
- ワイヤレス事業の売上高は前年同期並みを予想
- ブロードバンドとサーバーストレージの売上高見通しを下方修正
2024年度の全体見通し
- 連結売上高は前年比40%増の500億ドルを予想
- 調整後EBITDAマージンは60%の見通し
- 戦略的に重要な上位2,000社の顧客に注力
- VMwareの買収により、営業費用の増加が見込まれるが、高い売上高成長により相殺される見通し
質疑応答ハイライト
ソフトウェア事業の見通しについて
- Q2のソフトウェアブッキングスが前期比で約2倍の30億ドルに達する見込み
- VMware買収後、オンプレミスのプライベートクラウドソリューション「VMware Cloud Foundation (VCF)」の販売に注力
- VCFはパブリッククラウドの代替となり、AIワークロードのオンプレミス実行を可能にする
- VCFに対する需要が非常に強く、ソフトウェア事業の成長を牽引する見通し
- VMwareを除く従来のソフトウェア事業も好調だが、VMwareほどの注目度ではない
AI関連製品の需要について
- AI関連の売上高予測を75億ドル以上から100億ドル以上に上方修正
- AIアクセラレーターとネットワーキング製品の売上高比率は約7:3
- 売上高増加分の内訳も同様の比率
- 最新のスイッチングソリューション「Tomahawk 5」はAIデータセンターのスケールアウトにより需要が拡大
- AIアクセラレーター生産に関してサプライチェーンの制約はない
AI市場の見方とBroadcomの戦略
- AI市場は大きく2つのセグメントに分類される
- 大規模な消費者ベースを持つハイパースケーラー
- 社内でAIイニシアチブを推進する一般企業
- ハイパースケーラー向けにはカスタムシリコンのAIアクセラレーターを提供
- ネットワーキング製品も販売するが、アクセラレーターに比べると付随的な位置づけ
- 一般企業向けにはマーチャントシリコンの提供は行わず、ネットワーキング製品を中心に販売
- Broadcomの戦略は、得意分野に注力し、優位性を保ち続けること
カスタムシリコンの収益性について
- AIアクセラレーターにはロジックチップ(演算部)とHBM(メモリ部)が必要
- メモリ部分には高いマージンを設定できないため、全体の粗利率を押し下げる
- ロジック部分の粗利率は高いが、メモリを含めると全社平均を下回る水準になる
- カスタムシリコン事業の利益率は、従来の半導体事業よりも低くなる構造
VMware買収後のソフトウェア事業戦略
- VMwareの顧客基盤は30万社と広大
- 上位の戦略的顧客にはVCFのアップセルに注力
- 中小規模の顧客にはvSphereの仮想化ソリューションを販売
- 営業・サポート費用は増加するが、売上高の高成長により吸収できる見通し
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