ASML(ティッカー:$ASML)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | €6.00 | €6.00 | 〇 |
売上高 | €7.74B (YoY +46.3%) | €8.08B | × |
ガイダンス 2025Q2売上高 | €7.45B (€7.2B~€7.7B) | €8.10B | × |
ガイダンス 通年売上高 | €32.5B (€30B~€35B) | €33.82B | × |
業績ハイライト
🟢 売上・利益実績(2025年第1四半期)
項目 | 金額(億ユーロ) | 対ガイダンス/前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
総売上高(Net Sales) | 77 | ✅ ガイダンス通り | |
システム売上(System Sales) | 57 | EUV:32、非EUV:25 | |
インストールベース管理(IBM) | 20 | ||
粗利益率(Gross Margin) | 54% | 🟢 ガイダンス超え | EUV構成の向上と顧客生産性の達成が要因 |
営業費用(R&D) | 11.61 | ✅ ガイダンス通り | |
営業費用(SG&A) | 2.81 | ✅ ガイダンス通り | |
税引後利益(Net Income) | 24 | 売上の30.4%に相当 | |
EPS(1株当たり利益) | 6ユーロ | ||
フリーキャッシュフロー | ▲4.75 | 🔴 マイナス | 顧客からの支払いタイミングと設備投資増加の影響 |
現金・短期投資残高 | 91 |
🟢 受注・バックログ
項目 | 金額(億ユーロ) | 備考 |
---|---|---|
システム受注(Q1) | 39 | EUV:12、非EUV:27 |
システム受注構成 | Logic:60%、Memory:40% |
🟢 株主還元
内容 | 数値・金額 |
---|---|
2024年通期配当総額 | 6.40ユーロ/株 |
2024年第3四半期配当 | 1.52ユーロ/株 |
最終配当案(AGM提案) | 1.84ユーロ/株 |
自社株買い(Q1 2025) | 約27億ユーロ |
🟡 業績見通し(2025年第2四半期)
項目 | 見通し値 | 備考 |
---|---|---|
売上高 | 72〜77億ユーロ | |
インストールベース管理(IBM) | 約20億ユーロ | |
粗利益率 | 50〜53%(通常より広いレンジ) | 関税影響の不確実性を反映 |
R&D費用 | 約11億ユーロ | |
SG&A費用 | 約3億ユーロ |
- 2025年通期売上予想:300〜350億ユーロ(据え置き)
- 通期粗利益率ガイダンス:51〜53%
- 🟢 2026年は成長年と予想(ただしマクロ経済と関税に不確実性あり)
🔴 リスク要因:関税影響
- 新たな関税による直接的・間接的影響が不透明
- 米国向け出荷や部品の輸出入、米国内の工場への影響が想定される
- ASMLは顧客・サプライヤーと影響最小化を図っているが、不確実性は継続
🗣 質疑応答ハイライト
High-NA EUVの採用時期と価格戦略
Q(UBS): High NA EUVの価格柔軟性は考慮しているか?
A(CEO):
- 高NAの採用促進は重要だが、価格よりも装置の成熟度が採用の鍵。
- 現状では価格調整より装置の信頼性と成熟度向上が最優先。
🟢 SPIE会議で顧客から成熟度が従来のLow NAより進んでいるとのコメントあり
EUVシングル露光採用とDRAMへの展開時期
Q(UBS): DRAMなどでシングル露光の採用はいつ頃進むか?
A:
- 既に採用は進行中。特にNXE:3800E導入が進展を後押し。
- 今後数年でDRAMにおけるマルチパターニングの削減が加速。
2026年成長の根拠と受注状況
Q(TD Cowen): 2026年も成長年か?今後の受注必要量は?
A:
- 2026年も🟢 成長年と見込む(顧客との対話や技術動向を反映)。
- 受注の多くはすでに2026年以降向けであり、バックログは良好な水準。
中国ビジネスの状況
Q(TD Cowen、Berenberg他):
- 中国の売上比率見通し
- 顧客層の変化
- サービス制限の影響
A:
- 2025年の売上の25%以上が中国(以前は「20%前半」予想)。
- 顧客数は増加しており、「Big 4」依存度はやや低下。
- **成熟技術向けDEEP UV(1950iなど)**の需要が堅調。
粗利益率と関税影響の不確実性
Q(Wolfe Research、Cantorなど):
- 関税の粗利益率への影響は?
A(CFO):
- 現状では粗利益率への影響は見積もり困難。
- 顧客やサプライチェーンと影響分散・最小化の協議中。
NXE:3600の販売見通し
Q: 旧機種のNXE:3600はまだ販売可能か?
A: 🟢 販売可能。在庫分についても問題なし。
AI需要の持続性とTAM拡大の可能性
Q(Goldman Sachs、Citiなど): AIのインファレンス需要が長期成長を支えるか?
A: 🟢 はい。AIの成長は顕著で、ロジック・メモリ両方の顧客に投資意欲あり。
- NVIDIAやTSMCの動向がその象徴。
High–NAの導入段階と2025年の収益認識
Q(複数):
- EXE:5000と5200の導入進捗は?
- 2025年のHigh-NAの収益認識状況は?
A:
- 現在は第1フェーズ(R&D評価段階)
- 2026〜2027年に製造ライン試験(第2フェーズ)
- 2025年にはEXE:5200の収益認識も開始予定
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