アルファ&オメガセミコンダクター(ティッカー:$AOSL)の2024年度第3四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | -$0.04 | -$0.14 | 〇 |
売上高 | $150.1M (YoY +13.2%) | $150.1M | 〇 |
ガイダンス 2024Q4売上高 | $160M ($150M~$160M) | $158.5M | 〇 |
業績ハイライト
業績サマリー
- 2024年度第3四半期の業績は、売上高およびグロスマージンがガイダンス通りの結果となった
- 売上高は1億5,010万ドル、Non-GAAPグロスマージンは25.2%、Non-GAAP EPSは予想を上回る1株あたり0.04ドルの損失だった
- コンピューティングとスマートフォンで季節的な減少、ゲーミング、急速充電器、ソーラーで在庫調整が継続した
セグメント別の状況
- コンピューティングセグメントの売上高は前年同期比80.4%増、前四半期比4.3%減の45.8%
- 民生セグメントの売上高は前年同期比47.1%減、前四半期比0.3%増の15.7%
- 通信セグメントの売上高は前年同期比39.2%増、前四半期比7.4%減の17.9%
- 電源およびインダストリアルセグメントの売上高は前年同期比6.5%減、前四半期比29%減の16.5%
見通し
- 6月期はゲーミングの反発と、タブレット、グラフィックスカード、AIの強さが継続すると予想
- 今年後半は上半期より強くなると予想。スマートフォンやPCの新製品立ち上げに向けて顧客が準備
- 2024年以降の次のサイクルの成長段階に向けて、AOSはコンポーネントサプライヤーからソリューションプロバイダーへと移行中
質疑応答ハイライト
スマートフォンの注文の見通しについて
- 例年よりもスマートフォンの需要が強い。3月期は中国市場、特にプレミアムフォンの強さが季節的な減少を補った
- 現在はHuaweiには出荷していない
コンピューティング市場での新製品による成長見通し
- クライアントコンピューティング(PC)では、電源制御用ICやドライバICを含むトータルソリューションを提供することで、BOM内容を拡大。CPU当たり$2から$3へ増加、構成によってはさらに増加する可能性あり
- 最新のCPUでは、より多くのドライバICや電源制御段数が必要となり、1製品あたりの搭載金額が増加
- PCに加え、グラフィックスやAI分野にも事業を拡大。グラフィックスは2000年代から参入しており、現在は在庫調整が終わって再成長中
- グラフィックスでの成功を生かし、AIアクセラレータ向けにも同様のソリューションを提供し始めている
家電市場での成長機会について
- 家電市場は、IGBTやIGBTモジュールを使った圧縮機モーター(冷蔵庫)やドラムモーター(洗濯機)向けに参入
- 市場規模は$20億で、同社のシェアは約1%と参入途上。インバータ式モーターの採用拡大の流れに乗る
- 世界的な住宅市場の低迷により逆風だが、向こう1四半期程度は強さが続くと期待
- 重要な市場と位置づけ、投資を継続していく方針
エンドマーケット別の社内取り組みによるシェア拡大の影響について
- スマートフォンへの影響が最も大きい。中国市場での高いシェアと、より高速な充電を実現するための高性能部品の搭載増により、シェア拡大とBOM金額増の効果が出ている。米国の大手顧客でも高いシェアを維持
- PCでは、BOMの拡大により1製品あたりの搭載金額が増加。市場自体はダウンサイクルから脱していないが、同社は事業をグラフィックスやAIにも拡大し、ポジションを改善
- 下期にはPC市場の回復を見込むが、9月のピークシーズン以降については不透明感がある。Intel Meteor Lakeへの移行や、PCメーカーの新プラットフォームにより、需要回復を期待
粗利率の改善の見通しについて
- 6月期は粗利率の改善を見込む。中期的な粗利率目標は、売上高$10億到達時に30% (non-GAAP)
- $10億到達時には、粗利率改善の大部分は製品ミックスの改善による見込み。PIC製品の比率向上と、MOSFET事業でのハイエンド品の増加を想定
- 現在は在庫調整局面で価格環境は通常よりも厳しいが、通常は年率でミッドシングルからハイシングルの下落との認識。現在はハイシングル程度で推移
低価格帯での競争環境について
- 直近3ヶ月で大きな変化はない。スマートフォンやグラフィックスカードなど、一部の市場では改善が見られる
ゲーミング市場について (Jeremy Kwan氏の質問)
- ゲーミング機器は7年程度のライフサイクルの4-5年目。後半に入り在庫調整が起きていたが、6月期に受注が回復しつつある
- 回復の内訳は、既存製品の受注回復と、年末に向けた派生製品の立ち上がりが半々程度
- 次世代機へ向けた bond content の増加は期待しているが、詳細は不明
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