アバクロンビー&フィッチ(ティッカー:$ANF)の2025年度第1四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $2.14 | $1.73 | 〇 |
売上高 | $1.02B (YoY +22%) | $963M | 〇 |
業績ハイライト
記録的な第1四半期実績
- 売上高10億ドル、営業利益1億3,000万ドルを達成し、いずれも同社史上最高の第1四半期実績
- 売上高は前年同期比22%増、幅広い地域、ブランド、チャネルで成長
- 営業利益率は12.7%に改善
ブランド別の状況
- アバクロンビー・ブランドは31%の売上高成長を達成
- ホリスター・ブランドは12%の売上高成長に加速
- 両ブランドとも、男女ともに寄与
地域別の状況
- 米州で23%、EMEAで19%、APACで10%の売上高成長
- EMEAではイギリスとドイツ、APACでは中国が牽引
2024年通期見通しを上方修正
- 売上高成長率見通しを約10%に引き上げ(前回4~6%)
- 営業利益率見通しを約14%に引き上げ(前回約12%)
- 第1四半期の好調な実績と第2四半期の見通しを主に反映
質疑応答ハイライト
商品構成とデニムの影響について
- 男女ともにバランス良く成長し、特にアバクロンビーの女性用ドレスが目立った
- ウェディングショップの立ち上げが期待以上の結果に
- 男性用アバクロンビーも大きく貢献
- ホリスターの男性向けビジネスがプラスに転じたことが全体の加速に寄与
- デニムでは新しいトレンドが見られ、ローライズのバギーが人気
- コロナ禍で学んだ教訓は「バランス」の重要性
粗利益率の改善要因と平均単価(AUR)への影響
- 綿花価格の低下と貨物費用の若干の低下が恩恵に
- プロモーションの削減と在庫処分販売の減少によりAURが上昇
- 第2四半期も綿花価格の恩恵は続くが、貨物費用は後半にかけてマイナス影響に転じる見込み
- プロモーションの削減と在庫処分販売の減少によるAURの拡大が、粗利益率の改善を牽引すると予想
ホリスターの店舗売上高の加速要因と事業モメンタムの変化
- 男性向けビジネスの回復が想定より早く、ボトムスに続きトップスも成功
- 男性向けではバギーなジーンズに合わせたルーズなトップスなど、新しい着こなしが人気
- 全体的に、ホリスターとアバクロンビーの両ブランドで、男女ともにバランス良くカテゴリー別に成功
2024年の営業利益率目標14%に対する長期的な利益率目標
- 2024年は持続可能で収益性の高い成長に注力しており、現時点で長期については言及せず
- 投資家向け説明会で二桁の営業利益率達成について言及済み
- 第1四半期と第2四半期に良好な業績を収めており、現在はこの勢いを維持することに注力
マーケティング戦略とホリスターへの展開
- アバクロンビーではファネル(購買プロセス)全体にマーケティング費用を投下し、顧客獲得に注力
- ホリスターでも同様のアプローチを取る予定だが、ティーンの顧客層に特化
- 先週はホリスターのブランド認知度向上のためのイベントをカリフォルニアの学校で実施
- 売上高の5%をマーケティングに充てる方針は変わらず、売上拡大に伴い投資額も増加
通期売上高ガイダンスの上方修正と下期の減速見通しの背景
- 第1四半期は史上初の10億ドルの売上高を達成し、年間を通してバランスの取れた業績に
- 第2四半期もホリスターとキッズ向けで後半にかけて拡大する見通し
- 下期については依然不透明な点が多いため、第2四半期の動向を見極める必要あり
- 8月までに開催されるバックトゥスクールの動向を注視
APACにおける事業状況と消費者の見方
- APACは事業規模が小さく全体の約3%だが、10%の売上高成長を達成
- 現地のチームが顧客に寄り添い、品揃えのローカライズやプロモーションの最適化に注力
- 引き続きその地域への投資を継続する方針
アバクロンビーにおける新規顧客獲得の状況
- 新コンセプトの立ち上げに伴い、新規顧客の獲得が進んでいる
- 2023年はNFLなどとのライセンス展開で新規顧客を獲得
- ウェディングショップの立ち上げでも多くの新規顧客を獲得
- 既存顧客に対する価値提供の機会にもなっている
- トップファネルへの投資により、ブランド認知度の向上にも寄与
海外市場への事業展開の方針
- 北米で成功している事業モデルを英国とドイツを中心に展開
- 現地に密着し、商品・ブランドメッセージ・体験を連動させることが奏功
- 先週はロンドンで初の海外取締役会を開催し、現地チームと議論
下期の販管費率の前提
- 第1四半期から第2四半期にかけては投資を継続
- アジャイルな在庫管理やチェースモデルの活用、マーケティングや店舗への投資、顧客体験の向上などに注力
- 成長軌道を維持するために必要な投資を実行する方針
- 下期については現時点では販管費のレバレッジを最小限に抑える前提
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