アップル(ティッカー:$AAPL)の2025年度第2四半期決算についてまとめます
決算概要
アナリスト予想平均と結果の比較をまとめます。
結果 | 予想 | 判定 | |
---|---|---|---|
EPS | $1.65 | $1.62 | 〇 |
売上高 | $95.4B (YoY +6.0%) | $94.56B | 〇 |
業績ハイライト
全体業績
指標 | 実績値 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
売上高 | $95.4B | +5% | 為替影響を除けばさらに成長 |
希薄化後EPS | $1.65 | +8% | 3月期として過去最高 |
営業キャッシュフロー | $24B | ― | 強いキャッシュ創出力 |
純利益 | $24.8B | ― | |
総粗利率 | 47.1% | +0.2pt QoQ | プロダクトとサービスのミックスに起因 |
プロダクト別売上
セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 備考 |
---|---|---|---|
iPhone | $46.8B | +2% | iPhone 16シリーズが好調、インストールベース過去最高 |
Mac | $7.9B | +7% | 全地域で成長、M4 MacBook AirとMac Studio寄与 |
iPad | $6.4B | +15% | M3搭載iPad Airの人気、新規ユーザー過半数 |
ウェアラブル・ホーム・アクセサリ | $7.5B | -5% | Vision ProやWatch Ultra 2の反動が影響 |
サービス | $26.6B | +12% | すべての地域で成長、有料アカウント数も2桁成長 |
サービス部門の詳細
- 有料契約数:10億超(前年比2桁成長)
- Apple Pay利用者数:過去最高(前年比2桁成長)
- Apple TV+:視聴数記録更新、受賞歴 2,500件以上のノミネートと560件の受賞
地域別ハイライト
- 2桁成長の国・地域多数:インド、ブラジル、チリ、トルコ、フィリピン、スペイン、フィンランドなど
- 中国市場:前年同期比 -2%、為替調整後は横ばい。iPhone販売が改善、補助金が影響
業績見通し(2025年6月期)
項目 | 見通し |
---|---|
売上成長率 | 前年同期比で低〜中シングル%成長 |
粗利率 | 45.5%〜46.5% |
営業費用 | $15.3B〜$15.5B |
税率 | 約16% |
その他収支(OI&E) | 約-$300M |
関税コスト影響 | 約$900M |
※ 現行の関税政策が6月末まで変更されない前提。
投資・キャピタルリターン
- 米国への投資計画:4年間で$500B
- 対象:先端サーバー工場(テキサス)などを含む複数州の拠点拡張
- 19B個のチップを全米12州から調達予定
- 配当:$0.26/株(+4%増配)
- 自社株買い:$100Bの新たな枠を承認
質疑応答ハイライト
1. 関税の影響とサプライチェーン
Q(Morgan Stanley):インドからのiPhone輸出比率は今後どうなる?
A(Tim Cook):6月期には、米国向けiPhoneの大多数がインド製、iPadやMac等はベトナム製。今後の比率は予測困難。6月期の関税影響額は$900Mと想定。
Q(Melius):6月期以降の関税影響はどうなる?
A:現時点では予測困難。米商務省の調査(Section 232)が進行中で、将来の影響は不透明。
2. 中国市場の状況
Q(Melius):中国の業績が意外と堅調だが、今後の見通しは?
A:為替調整後は前年同期比で横ばい。iPhoneの販売が改善、補助金の効果があったと推定。iPadやMacなど他製品は新規顧客が過半数。
3. Apple Intelligence・AI戦略
Q(JPMorgan):Apple Intelligenceの影響は続いているか?
A:AI対応済市場ではiPhone 16の販売が相対的に好調。ただし新たな言語展開は4月以降であり、Q3以降に影響が出る見込み。
Q(Arete Research):Siri新機能の遅延要因は?
A:品質基準を満たすまで時間が必要なだけ。多くのAI機能はすでに提供済(Writing Tools、Genmojiなど)。
4. サービス事業と規制リスク
Q(Arete Research):欧州のApp Store代替案などの影響は?
A:Digital Markets Actは1年以上前に施行済。一部影響は既に実績に織り込まれている。今後の影響は不透明。
Q:独禁法裁判(Epic, DOJ等)によるサービス部門への影響は?
A:リスクは認識しており、注視している。Epic判決には不服があり、控訴予定。
5. その他トピック
- 米国経済の減速について:Timは「経済学者ではない」と前置きしつつ、Q2の結果は米国市場の強さを反映していると発言。
- Apple製モデム(C1):iPhone 16eに初搭載。今後の展開に期待。
- R&D投資:AI・Apple Intelligence強化のために継続的に増加中。
- サーバー・データセンター戦略:自社と外部を組み合わせたハイブリッドモデルで、複数州で拡張中。
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