2024年6月11日と6月12日に開催された、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録の要約です。
要約
経済活動と労働市場の状況
- 経済活動は2024年前半に堅調なペースで拡大を続けている
- 雇用の増加は引き続き力強く、失業率は低水準を維持
- 労働需給は徐々にバランスが取れてきている
- 求人率の低下、離職率の低下、パートタイム雇用の増加など、労働市場の緩和を示す指標が見られる
- 移民による労働供給の増加が注目されているが、今後の継続性には不確実性がある
インフレ動向
- PCE価格指数で測定したインフレ率は2023年末と比べてほぼ同水準
- 2024年初めと比較すると、直近の月次インフレ率は低下
- コアPCE価格指数の12ヶ月変化率は4月時点で2.8%
- 5月のCPIデータでは、総合で3.3%、コアで3.4%のインフレ率を記録
- サービス価格のインフレ率低下が2%目標達成に重要との認識
金融政策の決定と理由
- FFレートの誘導目標レンジを5.25〜5.50%に据え置き
- インフレが持続的に2%に向かっているという確信が高まるまで利下げは適切ではないと判断
- 過去の金融引き締めの効果が経済活動を徐々に抑制しているとの見方
- 低・中所得世帯の財政状況悪化に対する懸念が示される
経済見通しとリスク評価
- 経済見通しは不確実性が高いと認識
- インフレリスクに引き続き高度に注意を払う必要性を強調
- 雇用と物価安定の目標達成に向けたリスクは過去1年でよりバランスが取れてきたと評価
- 下振れリスクとして、需要の急激な減速や労働市場の悪化、低・中所得世帯の支出急減などを指摘
- 上振れリスクとして、地政学的展開の悪化、貿易摩擦の高まり、住宅価格インフレの持続などを挙げる
今後の金融政策の方向性
- データ依存型のアプローチを継続することを強調
- 経済の進展や見通し、リスクバランスを慎重に評価しながら政策を決定する姿勢を表明
- 必要に応じて金融政策のスタンスを調整する準備があることを明確化
その他の決定事項
- 準備預金への付利金利を5.4%に維持
- プライマリークレジット金利を5.5%に据え置き
- 証券保有残高の縮小プロセスを継続
原文リンク
FOMC Minutes, June 11-12, 2024
The Federal Reserve Board of Governors in Washington DC.
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