2024年3月20日、米連邦準備制度理事会(FRB)議長ジェローム・パウエルは記者会見を行い、経済状況と金融政策に関して発言しました。以下はそのQ&Aセッションの要約です。
要約
インフレと経済成長の見通し
パウエル議長は、高いインフレ率と強い経済成長の見込みにも関わらず、金利が変わらないことが高インフレ率の許容やインフレ目標達成の意欲の低下を意味するわけではないと回答。成長予測の上方修正とインフレデータのわずかな上昇は別問題とし、インフレを2%に下げる進捗は良好であると述べた。
住宅インフレの緩和と市場家賃
パウエル議長は、住宅インフレの緩和がまだ顕著には現れていないが、市場家賃の低下が最終的には住宅サービスインフレの指標に反映されるとの確信を表明。しかし、そのタイミングには不確実性があるとも言及。
最初の利下げとインフレ再燃懸念について
パウエル議長は、金利を早くまたは過度に引き下げた場合、インフレ率が再び上昇する可能性があると述べた。また、引き下げが遅すぎると、雇用に不必要な損害を与える恐れがあると指摘。そのため、金利の最初の引き下げは重要であり、経済成長、強い労働市場、そしてインフレ率の低下を踏まえ、慎重に対応する必要があるとしている。
最近のインフレデータに関する認識
パウエル議長は、好ましくないデータを単純に無視することに慎重であるべきだと指摘し、1月のCPIとPCE指数が非常に高かったことを認めた。これらの数字には季節的な影響がある可能性があるものの、完全には無視できないと示唆した。2月の数値も予想を上回ったが、コアPCEが30ベーシスポイントを大幅に下回り、特に高いわけではなかったと評価した。
しかし、パウエル議長は、これらの数値が昨年後半のインフレ率の下降傾向を大きく変えるものではなく、インフレ率が2%に向けて徐々に低下しているという全体の物語は変わっていないと見ている。また、これらの読み取りが2%に近づいているという確信を増すものではないとも語った。昨年後半の良好なインフレ率に過剰に反応しなかったように、この2ヶ月のデータに過剰反応せず、無視せずに、慎重な姿勢を保つことを強調した。
労働市場の評価
パウエル議長は、労働市場の供給と需要が増加し、それが経済全体の成長につながり、インフレ圧力が増加しない、あるいは減少する状況について語った。具体的には、昨年見られたように、供給チェーンの改善や労働力の増加が続けば、経済が拡大し続ける中でインフレ圧力が増さない可能性がある。労働市場が強いこと自体が、金利の引き下げを遅らせる理由にはならないと明言した。実際、昨年は雇用が非常に強く、インフレが急速に下がる様子が見られたが、これは供給側の改善、特に労働力の成長が大きな要因だったと認識している。したがって、強い雇用成長がインフレに対する懸念の理由になるわけではないと述べた。
資産圧縮のペースと金融政策
パウエル議長は、資産圧縮(QT)のペースを遅らせる計画について言及し、そうすることで資産圧縮に伴う可能性のある摩擦を避け、より小さなバランスシートを実現できる可能性があると述べた。また、銀行部門の見通しがバランスシート計画にどのように影響するかについては、金融システム内の混乱を避けるために資産圧縮のペースを遅らせることを検討していると答えた。
原文リンク
Transcript: Fed Chief Jerome Powell’s Postmeeting Press Conference – WSJ
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